【ヴィクトリアM】善臣じいじ、80歳まで駆け抜ける

[ 2019年5月10日 05:30 ]

デンコウアンジュでヴィクトリアMに臨む柴田善(撮影・村上 大輔)
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 春の古馬女王決定戦「第14回ヴィクトリアマイル」は9日、出走馬が決定。注目は2人の孫を持つ最年長ジョッキー・柴田善臣(52)。前走・福島牝馬SでVに導いた6歳牝馬デンコウアンジュと3度目のタッグ。昭和、平成、令和の3時代で白星を挙げた、美浦が誇るレジェンドの胸の内に迫った。同レースの枠順は10日、確定する。

 ――前走・福島牝馬Sは2馬身半差の快勝。

 「3走前のターコイズS(3着)で初めて騎乗して切れるタイプだと感じていた。前走もイメージ通りに素晴らしい脚を使ってくれた。少頭数でレースがしやすかったこともあるが、改めて凄い脚を使う馬だなって感心したよ」

 ――追い切りには乗らなかった。
 
 「もう6歳だからスタッフは、この馬のことを知っているだろうし邪魔することはない。今さら新しいことをしても良くないから」
 
 ――東京マイルに条件は替わるが心配はない?
 
 「どこのコースでも道中、きっちりとペースを守れば切れる脚を使ってくれる。うまく他の馬の後ろに入れればいいね。枠はどこでも大丈夫。しまいの強烈な脚はこのコースに合うと思う」
 
 ――レースに向けて注文は?
 
 「突然ひょうが降るのだけは勘弁してほしいね(笑い)。1時間も待避所でぐるぐる回って騎手も大変だろうし」
 
 ――17年のこのレースでは11番人気で2着と激走。この舞台には良いイメージがある?
 
 「もちろん映像でチェックはしているけど、イメージにとらわれないよう心掛けている。レースは生き物。絶対に同じ展開にはならないから、イメージが固まってしまうと良くない。展開に応じて柔軟に対応したい」
 
 ――今回はG1で相手も強くなる。
 
 「もちろんこの馬にもチャンスは十分にあるけど、他も強い馬ばかり。手ごわいメンバーと一緒に走ってデンコウアンジュ自身がどう思うかだね」
 
 ――ジョッキーは現役最年長。勝てば52歳9カ月でのG1制覇。岡部幸雄元騎手の53歳11カ月に次ぐ年長2位の記録になる。

 「じゃあ来年に勝たないと…(笑い)。まさか50歳まで乗るとは思っていなかったけど記録らしい記録を持っていないから“最年長”は狙いたいね」
 
 ――何歳まで騎手を続けよう、と決めていることはある?
 
 「70…いや、80歳ぐらいかな(笑い)。昭和、平成、令和と3つの時代で競馬に乗ってきたが、次の元号まで騎手をやっているかもしれないよ。2歳になった孫がテレビで競馬を見て“じいじ!じいじ!”って言っているみたいだし頑張らないとね」
 
 ――デンコウアンジュは2歳で重賞を勝ってから6歳まで息の長い活躍。自身と重なる部分は?
 
 「俺も馬もずっと活躍していたわけじゃないけどね(笑い)。牝馬は特に好調を維持するのが難しいから、これだけずっと重賞で戦っているのは立派だよね」

 ――G1通算10勝に王手がかかっている。
 
 「そうなの?勝った数を覚えていないから知らなかった。こういう数字や記録にギラギラしていないところが駄目なのかもしれないね。でも、自分のリズムを崩しても良くないしマイペースで頑張るよ。G1でチャンスがある馬に乗れることはうれしいし、何とか結果を出したいね」

 ◆柴田 善臣(しばた・よしとみ)1966年(昭41)7月30日生まれ、青森県上北町(現東北町)出身の52歳。叔父に柴田政見(元騎手、調教師)、柴田政人(同)を持つ。政人氏に憧れて騎手を志し、競馬学校騎手課程第1期を経て85年3月騎手デビュー。93年安田記念でヤマニンゼファーに騎乗しG1初制覇。JRA通算2262勝(うち障害2勝)。G1は9勝で直近は14年安田記念(ジャスタウェイ)。釣り、犬、鷹、スポーツカーと多趣味で知られる。2人の孫がいる。

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