【ヴィクトリアM】アエロリット100点!がんじゅーむん(頑丈者)の筋肉

[ 2019年5月7日 05:30 ]

<ヴィクトリアマイル>宮里藍さんのような「世界でも通用する筋肉」を身にまとったアエロリット
Photo By スポニチ

 春の女王は米国ツアーで急成長した芦毛の藍ちゃん!? 鈴木康弘元調教師(75)がG1有力候補の馬体を診断する「達眼」。第14回ヴィクトリアマイル(12日、東京)ではアエロリットとレッツゴードンキに満点を付けた。今週の東京競馬場で開催される「春の沖縄フェスティバル」にちなんで、有力馬の立ち姿を沖縄出身の女性になぞらえながら解説する。

 旅は人を成長させるといいます。未知の世界、新たな環境に触れることで人間の幅が広がるからでしょう。時には競走馬も成長させます。米国遠征から帰国したアエロリット。その立ち姿が旅の成果を示しています。目つきが遠征前とは違う。過去のG1出走時に撮影した馬体写真を見直すと、やんちゃな目をしていました。ところが、今回は穏やかな余裕のある目に変わっています。

 尾の先が股下をくぐるほどの強風が後方から吹き付けるなかでの撮影。強い風は馬をイラつかせるものですが、立ち方を見ると、少し力んでいる程度。耳を前方にしっかり立てながら、菊沢師の引き手に素直に従っています。精神的にひと皮むけてきた。米国遠征ではG1・9着と結果こそ残せなかったが、成果はこの立ち姿に表れています。

 ヴィクトリアマイルがメインとなる今週の東京競馬場では「春の沖縄フェスティバル」が開催されます。そこで、同レース出走予定の牝馬を沖縄の女性になぞらえれば…。アエロリットは元プロゴルファーの宮里藍さん(沖縄県東村=ひがしそん=出身)。米ツアーで一段と成長し、世界のトッププロに輝きました。私が現役調教師の時代、北海道の牧場で藍ちゃんと会食したことがあります。米国ツアーに乗りだす前でしたが、同席したスポーツ科学の専門家が「世界でも通用する筋肉」と語っていたものです。アエロリットの話に戻せば、こちらも世界を目指せる筋肉の持ち主。特に張りがある肩の筋肉は凄い。菊沢調教師が愛情をもって日々の調教で鍛えてきた成果です。藍ちゃんを育てたティーチングプロの父・宮里優さんのように…。国内重賞3勝(NHKマイルC、クイーンS、毎日王冠)を挙げて米国遠征した経緯にこだわれば、国内ツアー3勝後、米ツアー初優勝に挑む上原彩子(沖縄県那覇市出身)にも例えられるかも…。

 ともあれ、筋肉は全く落ちてません。腹周りもしぼんでない。米国遠征の疲れなし。あるのは海外旅行の成果だけ。旅は人も馬も成長させます。

 ◆鈴木 康弘(すずき・やすひろ)1944年(昭19)4月19日生まれ、東京都出身の75歳。早大卒。69年、父・鈴木勝太郎厩舎で調教助手。70~72年、英国に厩舎留学。76年に調教師免許取得、東京競馬場で開業。94~04年に日本調教師会会長を務めた。JRA通算795勝、重賞はダイナフェアリー、ユキノサンライズ、ペインテドブラックなど27勝。

続きを表示

2019年5月7日のニュース