【ヴィクトリアM】ジュール新女王!壮絶叩き合い制しG1初V

[ 2018年5月14日 05:30 ]

<ヴィクトリアM>ゴール前の混戦を制した(4)ジュールポレール(右)。左は2着の(16)リスグラシュー
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 春の古馬女王決定戦「第13回ヴィクトリアマイル」が13日、やや重の東京競馬場で行われた。前年3着馬で中団から力強く伸びた8番人気ジュールポレールが、リスグラシューの猛追を鼻差退けてG1初制覇。12年マイルCSを制した兄サダムパテックと兄妹G1制覇を達成。騎乗した幸英明(42)は昨春高松宮記念(セイウンコウセイ)以来のG1・7勝目。兄パテックも管理した西園正都師(62)はG1・4勝目となった。

 雨中の壮絶な叩き合い。中団から泥を蹴散らして伸びたジュールポレールが、懸命に粘るレッドアヴァンセをかわして先頭へ。そこに外から武豊リスグラシューが迫った。

 「どっちや!?」

 馬上の武豊の問いに、幸は「分かりません」と本音で応じるしかなかった。優勝の確信はゴール後の向正面。「JRA職員さんが“勝ってますよ”と。鼻差?大きいです」。笑顔で検量室に戻ると「ずっと乗せていただいて」と西園師ら関係者に馬上で一礼した。

 初の重賞VがG1タイトル。通算14戦中、12戦の手綱を任された幸は機敏に中団の外を選んだ。「最後は必ず伸びる馬。思っていたより一列後ろだったけど、いつでも動ける位置を選んだ。最後は必死。雨も降り過ぎずちょうど良かった」と勝利の美酒に浸った。

 西園師にとっても至高の喜びだ。「ゴール前!?心臓が飛び出しそうだった。思ったより後ろの位置だったが、かえって馬場のいい部分を走れた。幸ジョッキーのナイスプレー」。半兄サダムパテック(父フジキセキ)は12年マイルCSを制した厩舎の功労馬。妹の入厩時から「いつかは大きい仕事を」と大事に育てた。体質が弱くデビューは桜花賞も終わっていた16年4月京都の未勝利戦5着。地道に力を付け、昨年ヴィクトリアM3着。さらに1年。歓喜の戴冠につなげた。

 実は“出走危機”に直面していた。重賞どころか、オープン勝ちもないオープン馬。4月29日の特別登録日。西園師はヴィクトリアMの登録状況を何度も確認。「正午、午後2時、さらに3時…。何度見ても増えない」。結果的にフルゲートと同じ18頭が登録し、賞金順最下位18位で出走確定。幸は「ゲートインできたのがまず良かった」としみじみ。指揮官は「出られないことを想定し福島牝馬Sも考えた」と苦悩のエピソードも明かした。

 これで賞金も上積み。指揮官は「やっとお兄ちゃんの域に達した。もう出られない心配はない。どこでも胸を張って出走できる」と笑い、牡馬相手の安田記念(6月3日、東京)を視野に。「春は2戦しかしていないし、使うとしたらそこしかない。馬の様子を見て、オーナーサイドと相談して決めたい」と指揮官。幸は「これをきっかけに、もっと大きいところを」と雨の府中で躍った愛馬の輝かしい将来を約束した。

 ◆ジュールポレール 父ディープインパクト 母サマーナイトシティ(母の父エリシオ)牝5歳 栗東・西園厩舎所属 馬主・G1レーシング 生産者・北海道白老町の社台コーポレーション白老ファーム 戦績14戦6勝 総獲得賞金2億2440万1000円。

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