【キタサンブラックと私】ブラックタイド 血統つながる喜び 孝行息子が体現

[ 2017年12月20日 08:45 ]

ブラックタイドの馬房に飾られているお守り
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 キタサンブラックの父ブラックタイドは08年に引退後、北海道日高町のブリーダーズ・スタリオン・ステーションで種牡馬生活をスタート。重賞1勝だけだが、1歳下の全弟ディープインパクトの血統が評価されてのスタッドイン。初年度産駒のテイエムイナズマがいきなり12年デイリー杯2歳Sを制して重賞ウイナーを送り出した。

 ディープの来年度の種付け料は4000万円(前年比1000万円アップ)。全兄のタイドは同250万円(受胎条件)のお手頃価格とあって、初年度から8年連続で100頭以上の繁殖牝馬を集める安定した人気。種付け料は50万円からスタートし、13年に100万円、キタサンブラックの活躍もあって16年には300万円にまで上昇した。

 16歳を迎えても黒く見栄えのするルックスは健在。現在は春から始まる種付けシーズンに備えて英気を養っている。同スタリオンの工藤礼次主任(39)は「年を取ってきていますが、獣医師にかかるような大きなケガ、病気もなく元気に過ごしています」と近況を報告。放牧地は今年、同スタリオンに移動してきたばかりのヴィクトワールピサ、新たに種牡馬入りしたラブリーデイが両隣。「あまり周りを気にしないタイプ。扱いやすいですよ。種付けも牝馬のえり好みをせず、お手本のような馬です」と優等生ぶりを伝えた。

 キタサンブラックの父として注目度が上昇。一般開放時には、かつては素通りされることも多かったが、タイドの前で立ち止まって見学していくファンが増えたという。工藤主任は「私たちは直接育成しているわけでも調教しているわけでもありません。何もしていません」と控えめに前置きした上で「産駒の活躍以外に楽しみはない、と言ってもいいくらいです。中には途切れてしまう血統もたくさんいますから。活躍して先々に血統がつながっていくことが、何よりの喜びなんです」。戦いを終え、再び北海道へと帰ってくるキタサンブラック。次なる活躍を、馬産地全体が願っている。

 ◆ ブラックタイド 父サンデーサイレンス、母ウインドインハーヘア。2001年3月29日、ノーザンファーム生まれ。01年当歳セレクトセールで金子真人オーナーに1億185万(税込み)で落札(全弟のディープインパクトは7350万円)される。03年、栗東・池江泰郎厩舎からデビュー。重賞勝ちはスプリングSの1勝。皐月賞後に屈腱炎を発症して2年3カ月休養した。通算22戦3勝、総獲得賞金1億6207万1000円。

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2017年12月20日のニュース