【有馬記念】17万人が涙…豊とオグリ奇跡の復活

[ 2017年12月20日 08:30 ]

90年、有馬記念を制したオグリキャップ騎乗の武豊がガッツポーズ
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 【有終の美 優駿の美】80年代後半の“バブル景気”に陰りが見え始めた90年。2年前に公営・笠松競馬から中央に移籍し、並み居るエリートホースたちをねじ伏せて勝ち星を積み重ねてきた“芦毛の怪物”オグリキャップが現役最終年を迎えていた。年内での引退→種牡馬入りが決まり、18億円のシンジケートを組まれて迎えた最後の秋シーズン。ところが、オグリは初戦の天皇賞・秋が6着、続くジャパンCは11着と、いずれも精彩を欠く走りで大敗を喫してしまった。

 「オグリはもう終わった」。そんな声もささやかれる中で迎えたラストランの有馬記念。同年春の安田記念でVに導いた若き天才騎手・武豊が2度目の手綱を取ることになったものの、4番人気とファンの評価はシビアだった。しかし、中団を追走したオグリは2周目の3コーナーで外から抜群の手応えのまま進出。大歓声に包まれた直線で追いだされると鋭く反応し、残り200メートルで先頭に躍り出た。内からホワイトストーン、外からメジロライアンが迫ったが、最後まで抜かせずに先頭ゴール。武豊の左手が高々と上がった。

 超スローペースだったため、優勝タイムは同日に同距離で行われた900万下(現1000万下)のグッドラックHより0秒6遅い2分34秒2。それでも中山競馬場のスタンドを埋め尽くした17万ファンは奇跡のV走に「オグリ!!オグリ!!」「ユタカ!!ユタカ!!」と涙声で絶叫した。あまりにも劇的な復活劇。当連載で取り上げる数々の「有終の美」の中でも、最上級のドラマだった。

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2017年12月20日のニュース