【宝塚記念】アンビシャス 横山典、亡き相棒・ライアンに誓うV

[ 2016年6月23日 05:30 ]

 【G1ドキュメント=22日】火曜夜、高木は往年の名馬メジロライアンが勝った91年宝塚記念のVTRを見返していた。3月17日に29歳で老衰死したライアン。今月20日には洞爺湖町のレイクヴィラファーム(旧メジロ牧場)で葬儀、納骨式が執り行われ、主戦を務めた横山典は涙ながらに愛馬への思いを語った。今年の宝塚記念にはアンビシャスに騎乗するノリさん(横山典)。両馬への思いが聞きたい。翌朝、スタンドのベンチでたたずむノリさんの元へ向かった。

 「まさか自分が泣くとは思わなかった。体に染み込んでいるものがあふれてきた感じがした」と葬儀を思い返したノリさん。デビュー4年目からコンビを組んだ相棒。横山典の騎手人生を形作った馬だった。「昨年の夏に会いに行ったら元気な様子だった。墓は俺が買ってやるからなって冗談で言ってたら…。前日まで普段通りで、朝起きないと思ったら死んでいたらしい。死に際までヤツらしくて格好良かった」

 思い出すのは90年クラシック。皐月賞以外で1番人気に推されながらも無冠のまま終わった。「この馬が一番強いと思ってたし、そう言い続けていたから苦しかった」。その後もなかなかG1を勝てずに、迎えた91年宝塚記念。6度目のG1挑戦で悲願の初制覇を果たした。だが「うれしかったんだろうけど不思議と覚えてないんだよな」とノリさん。「悔しかったことはよく覚えているし、ライアンの走っている姿は目をつぶれば鮮明に思い出すよ」と目を細めた。

 アンビシャスで挑む今年の宝塚記念。前走・大阪杯(1着)は驚きの先行策で、宝塚記念ファン投票1位のキタサンブラックを破った。「あれは別に驚くような競馬じゃない。素質は他の馬にも負けていないし、順調ならでかい仕事をしてくれる。当たり前なんだけど、俺は勝ちたい」。ライアンが優勝した年から26回目の夏のグランプリ。今年は大ベテランの背中を押す心強い相棒がいる。

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2016年6月23日のニュース