【フィリーズR】ベルカント 成長の好位差し!武豊「馬が変わった」

[ 2014年3月17日 05:30 ]

ニホンピロアンバー(中)、エスメラルディーナ(右)の内から抜け出すベルカント

 収穫たっぷりのVだ。桜花賞トライアル、フィリーズレビューが阪神競馬場で行われ、2番人気ベルカントが好位で構え、インから抜け出す味のある競馬で重賞2勝目。これまでのスピード任せの競馬から脱却した。15日に45歳の誕生日を迎えたばかりの武豊は同レース3勝目。2着ニホンピロアンバー、3着エスメラルディーナも桜切符を手にした。

【レース結果】

 こんな走りができないか。あんな競馬が見せられないか。陣営が願っていた全てのことをベルカントは実現してみせた。

 抜群のスタートを決めたがハナを奪うことなく好位へ。武豊の指示に素直に従った。インで折り合いをつけて脚をタメ、4角手前では抜群の手応え。直線での人馬一体ぶりは3歳牝馬離れしていた。逃げるニホンピロアンバーの内のスペース。1頭分、空いたと見るや左ムチに瞬時に反応。体をねじ込み、右ムチに応えてサッと抜け出した。

 武豊は最高の笑顔で検量室前へと戻ってきた。「今までと違う競馬をしたかった。過去にないくらい道中リラックスして走れていた。年明け初戦で結果を出せた。それも最高の形で」

 世代屈指のスピードを秘めるがコントロールが利かない。そんなイメージだったが、この日は別馬のようだった。パドックでも多少チャカチャカするが我慢しきった。「豊マジックですね」。問いかけに武豊は首を振った。「厩舎の努力が大きい。馬が本当に変わっていた」

 最終追いに変身のヒントがあった。前走・朝日杯FS時の追い切りは坂路でラスト2F12秒4→13秒4とゴール前で失速したが、今回は12秒7→12秒3。残り1Fでもうひと伸びした。角田師は「すぐトップスピードに乗ってしまう馬が我慢できるようになった」。気性の成長ぶりに目を細めた。

 これで胸を張って桜花賞へ行ける。控える競馬をこなした以上、1F延長は問題ない。武豊は「強い馬はいるが、この内容なら」。角田師も「まだ難しいところはある。本番も気を引き締めていく」。爆走少女から待てる女へ。音楽用語で「美しい歌」という馬名もしっくりくる今のベルカントなら桜の戴冠を期待していい。

 ◆ベルカント 父サクラバクシンオー 母セレブラール(母の父ボストンハーバー)牝3歳 栗東・角田厩舎所属 馬主・ノースヒルズ 生産者・北海道新ひだか町土居忠吉氏 戦績5戦3勝 総獲得賞金9905万6000円。

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