【皐月賞】コディーノ藤沢和師、新調教で悲願の牡馬クラシックVへ

[ 2013年4月9日 06:00 ]

斬新な調教で皐月賞Vを狙うコディーノ

 トップトレーナーの調教術で1冠獲りだ。今週は牡馬クラシック第1弾「第73回皐月賞」。台風の目になるのが、昨年の札幌2歳S、東京スポーツ杯2歳Sを連勝したコディーノ。朝日杯FS、弥生賞と連敗したが、藤沢和雄師(61)独特の調教術で万全の臨戦態勢を整えている。

【皐月賞】

 藤沢和厩舎、悲願の牡馬クラシック制覇へ。コディーノが抱える課題は明確だ。昨年の朝日杯FS。パドックでテンションが上がり、発汗した。「やけにイレ込んでいるな」。師の嫌な予感が的中。3角で激しく引っ掛かり、先に抜けたロゴタイプを首差捉え切れず2着。見せムチだけで馬群から抜け出し、横山典に「瞬間移動」と言わしめた東京スポーツ杯2歳Sの切れ味は影を潜めた。

 テンションは上げない。だが、鍛え抜かなければならない。これが朝日杯の敗戦から得たクラシック獲りの命題だった。だが、言葉で表現するほど、問題解決は簡単ではない。鍛えるには負荷が必要。負荷を掛けるためには、他馬と併せて闘志をかき立てる。だが、他馬と併せればテンションはどうしても上がる。調教の常識の中では、鍛錬と気持ちの興奮は、なかなか切り離せないのだ。

 そこで藤沢和師は一計を案じた。はるか前方に僚馬を置き、それをハイスピードで追いかける。差は詰めるが並ぶことなく、僚馬の手前でゴールさせる。これなら、速い四肢の回転で負荷は掛かるが、闘志を高め過ぎずに済む。いわば、新・藤沢和流、「抜かない調教」だ。これまで「馬なり調教」「イン突き併せ馬」「3頭併せの真ん中突破」など、斬新な稽古を披露してきた同厩舎。最新のアイデアがコディーノに導入された。

 3日の1週前追い切りでは不良馬場の中、6F83秒2の速いタイムをマーク。気持ちを冷静に保ったまま、十分に負荷を掛けた。「仕上がりやすい馬だし、これで大丈夫。元気があってもイレ込んではいないから」。師は満足げだ。

 実は弥生賞前から、この調教を導入した。2番人気で3着だったが、4角から直線まで内に押し込められており、見直しの余地はある。「厳しい位置取りだったから結果はやむを得ない。しっかり折り合いながら落ち着いて走れたのが大きい。次につながるレースだった」と師も感触を得た。

 日本を代表する調教師だが、牡馬クラシックには手が届いていない。「この馬でクラシックを勝てなければ、どの馬で勝つんだ」。抜かない調教を武器に大舞台へ。名刀を抜くのはレースだけでいい。

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