【フェブラリーS】岩田 テスタ舞った!楽々差し切りV

[ 2012年2月20日 06:00 ]

テスタマッタが直線を鋭く抜け出してフェブラリーS制覇。鞍上岩田はド派手にガッツポーズ

 絶対王者が敗れた。12年中央競馬最初のG1「第29回フェブラリーS」は7番人気のテスタマッタが直線で鋭く伸びて中央G1初勝利を飾った。管理する村山明調教師(40)は騎手時代も含めて中央G1初制覇となった。昨年の最優秀ダートホースのトランセンドは、スタートから行き脚がつかず直線で失速して7着に敗れた。

 ラスト200メートルで先頭に立ったのは同じピンク帽でもトランセンドではなくテスタマッタの方だ。最後は次元の違う末脚で他馬を置き去りに。ゴールの瞬間、岩田は右手を高らかに上げて派手なガッツポーズ。

 「やってマッタ~。3~4コーナーで我慢させた分、これだけ走ってくれた。G1の速いペースにこの馬の脚質がマッチした」

 レースを引っ張ったのはセイクリムズン。前半4F通過は46秒6。昨年より1秒3も速いペースで、王者トランセンドも追走に苦しんだ。激流を意識しつつ岩田は後方3番手から直線勝負に懸けた。「前回(根岸S3着)よりも体はひと回りも、ふた回りもたくましくなっていた。厩舎スタッフのおかげ」

 管理する村山師は中央G1初勝利。90年に騎手デビューし、07年引退後は調教助手として経験を積み、08年開業。調教師としての初勝利もテスタマッタで、翌年に大井の交流G1ジャパンダートダービーを制覇。厩舎の孝行息子がG1舞台でも期待に応えた。

 指揮官は大一番に向け秘策を解禁した。最終追いでハードな併せ馬を敢行。「これまでは単走だったが、G1だししっかりと負荷をかけたかった。今まで取っておいたやり方」。膝の故障、喉の手術など体質面の弱さを抱えていた。「2歳の頃から大事にいこうと思っていた」。11年川崎記念は左肩ハ行で直前に出走を取り消すアクシデント。「無理をすれば出られないこともなかったが、馬優先に考えて大事を取った」

 調教助手時代に所属していた角居厩舎のウオッカは、07年エリザベス女王杯をレース当日に右寛ハ行で取り消した。現場にいた師は「G1をやめることは勇気がいるが、それでも決断しなければならない。角居先生からその勇気をもらった。それが今回につながっている」と振り返った。

 最優秀ダートホースを破ってダート界の頂点に立った。ドバイ国際競走(3月31日、メイダン競馬場)はゴドルフィンマイルとワールドCに登録済み。村山師は「マイルはレーティング的に選ばれると思うが、賞金(60万ドル=約4800万円)が少ない。もしワールドCに選ばれればオーナーと相談して決めたい」と見通しを語った。夢は広がる。

 ▽テスタマッタ 父タピット 母ディフィカルト(母の父コンサーン) 牡6歳 栗東・村山厩舎所属 馬主・吉田和美氏 生産者・米国ウォーターフォードファーム 戦績24戦6勝(うち地方6戦1勝) 総獲得賞金3億2442万5000円。

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