【天皇賞・秋】エアシェイディ伊藤正師細心のダート追い

[ 2009年10月29日 06:00 ]

<第140回天皇賞・秋 追い切り>単走で追い切るエアシェイディ

 【GIドキュメント 28日美浦】美浦の天皇賞出走馬5頭がすべて開門の午前7時に登場。思い思いのコースに散る中、小田はエアシェイディにくぎ付けだった。新人・小野寺(レースは後藤)を背に南スタンドから一番近いDコース(ダート)へ。何度か立ち止まり、内ラチ沿いをゆっくりと歩いて1周。2周目は手綱を抑え、弾むように6F80秒2~1F12秒6で駆け抜けた。はちきれんばかりの体だ。

 なぜ、Dコース?ひとしきり調教が済んだ正午前、小田の足は自然と伊藤正厩舎へ向いていた。
 「昔の調教方法だよ」
 トレーナーの第一声に小田はハンマーで殴られた思いだった。そう、坂路やWコース、ポリトラックもない頃。関東馬はみんなこうやって追い切っていた。
 「先週しっかり追ったので、速くなりすぎるのは嫌だった。北で一番広いCコースは3コーナーが下り坂で時計が速くなることもある。Dコースならコースも広いし、のびのび走れる」。例えば、Wコースは1周1600メートル&幅員20メートル。Dコースなら2000メートル&30メートル。確かにゆったりと走れる。では、大一番の最終追いに新人?「後藤を乗せれば、馬の方も気持ちが乗りすぎることもある。乗り役は馬に教えられる。GIに出るような馬に乗れば、体で一流馬の感触をつかんでくれるだろうしね」。細心の注意を払う一方で愛弟子も育てる。シェイディは師弟の絆(きずな)も深めてきた。
 「6年間見てきたけど、今が一番いい状態じゃないかな。これだけの血統の馬だから、先のことも考えてあげないとね」。すでに8歳秋。GI制覇のチャンスもそう多くはないはず。ひたむきに頑張ってきたシェイディの快走を小田は願わずにはいられなかった。

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2009年10月29日のニュース