最強女傑締めた!スカーレットのためのGP/有馬記念

[ 2008年12月29日 06:00 ]

<有馬記念>レースを制したダイワスカーレット(左から2頭目)と安藤勝己

 やっぱり強い!文句なし!!中央競馬ファンの夢を乗せて走るグランプリ「第53回有馬記念」が28日、中山競馬場で行われた。安藤勝己(48)騎乗のダイワスカーレットが力の違いを見せつける逃げ切りで優勝、圧倒的支持を集めた1番人気に応えた。牝馬の有馬記念優勝は71年トウメイ以来、37年ぶり4頭目の快挙。昨年2着のリベンジを果たし、グランプリホースの称号を獲得した女傑は来年、海外でのタイトル獲りに挑む。

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 どこまで強いのか。中山競馬場を埋め尽くした11万7000人の大観衆が拍子抜けするほどのダイワスカーレットの圧勝劇。並み居る強豪牡馬を寄せ付けず、1度も先頭を譲ることなく、37年ぶりの牝馬Vという快挙をいとも簡単に成し遂げた。「本当に強い馬です」。数々のG1馬を導いてきた安藤勝ですらほかに言葉が見つからない。
 抜群のスタートセンスを誇るスカーレットに外枠の不利など関係なかった。最内から飛び出したカワカミプリンセスをけん制しながら先頭に立つと軽快に風を切る。2角から向正面でいったんペースを落としたが、3角手前から再び加速。メイショウサムソン、スクリーンヒーロー、マツリダゴッホ…。必死に手綱をしごいて馬体を併せに行く好位集団と比べても、明らかに手応えが違った。直線入り口で一瞬にして置き去りにすると独走態勢。大外から強襲したアドマイヤモナークにセーフティーリードを保ったまま楽々とゴールを駆け抜けた。
 「返し馬が終わった時点で安心感があった」。表彰式を終えた安藤勝は冷静に振り返った。イレ込みが激しかった天皇賞・秋とはまるで別馬。「芝の内が傷んでいたが4頭分くらい外を回さないと状況は変わらない。ならば内を走っても一緒だと思った。後ろの馬の仕掛けが早かったけど追ってもうひと伸びある馬。能力を信じて乗った」。荒れたインを避けて回り、マツリダゴッホの激走を許した昨年の有馬の反省を生かした騎乗。松田国師も「完ぺきな仕事ぶりだった」と名手の判断を絶賛した。
 天皇賞・秋はウオッカと死闘の末、わずか2センチ差で涙をのんだ。「あの敗戦の悔しさを胸に十分な時間を割き、念には念を入れて調整してきた」と松田国師。ジャパンCを回避し有馬記念一本に目標を絞った信念が実った形だが、一方で「秋天の悔しさは晴れるものではない」と言い切った。
 歴史的快挙を達成した陣営が次に狙うのは海外G1。「オーナーと相談だが、来年は海外で3つ勝ちたい」と松田国師は大きな夢をブチ上げた。それはすでに来季の海外挑戦を表明している宿敵ウオッカ陣営に対する挑戦状でもある。具体的なレース名こそ明かさなかったが凱旋門賞、キングジョージなどが有力候補となる。レース前「ウオッカに出てほしかった。今度は1センチ差で勝ちたい」と話していた師。もはや国内に敵はウオッカだけ。最強牝馬、いや現役最強の座を懸けスカーレットは海を渡る。

 ▼ダイワスカーレット 父アグネスタキオン 母スカーレットブーケ(母の父ノーザンテースト) 牝4歳 栗東・松田国厩舎所属 馬主・大城敬三氏 生産者・北海道千歳市社台ファーム 戦績12戦8勝 総獲得賞金7億8668万5000円 主な勝ち鞍は07年桜花賞、ローズS、秋華賞、エリザベス女王杯、08年大阪杯、有馬記念。

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2008年12月29日のニュース