1着ディープスカイ

[ 2008年5月12日 06:00 ]

1番人気に支持されたディープスカイは直線突き抜けて優勝

 「第13回NHKマイルC」が11日、東京競馬場で行われ、四位洋文騎手(35)騎乗の1番人気ディープスカイが直線で突き抜け、2着ブラックシェルに1馬身3/4差をつけて快勝した。次走はダービー(6月1日、東京)を予定。大混戦の牡馬クラシック戦線を統一しそうな大物出現となった。

 まるで幻想のようなウイニングランだ。美しい栗毛、白く真っすぐな鼻筋、きれいに編まれたたてがみ。拍手を浴びるのを楽しむようにディープスカイはしなやかに歩を進め、ゴール板前で止まって観衆の方を向き胸を張った。1番人気に応えてG1を制した馬にふさわしいオーラだった。
 レースぶりも力強かった。向正面では後方3番手で折り合いに専念。4コーナー過ぎ、荒れた馬場を気にして他馬が外へと進路をとる中、四位だけは馬場の3分どころ、インから12~13メートル地点へと馬を向けた。「馬が馬場を気にしていなかったら内を突こうと決めていた。僕が通ったところは悪くなっておらず、狙い通りだった」(四位)。胸を高鳴らせて左ムチで追い出すとスカイは力強く伸びた。残り100メートルでブラックシェルを競り落とし先頭へ。右ムチを放って一気にケリをつけた。ゴール前は抑える余裕があった。「この馬の切れ味を存分に発揮できた」。喜びのあまり、検量室前で両腕を上げガッツポーズをしたところで振り落とされたのはご愛きょう。名馬には乗り慣れている四位も驚く瞬発力だった。
 中央G1初制覇の昆師は、ややぼう然とした様子。「まだ実感がわかない。上手に乗っているなと思ったがゴールまで勝ったと分からなかった」。毎日杯を凄まじい切れ味で制したが、皐月賞には見向きもせず、ここ一本に絞った。「ローレルゲレイロでいろいろ経験したから」。昨年、厩舎のエースを皐月賞に出走させたが、トリッキーな中山コースでリズムを崩し6着。NHKマイルCでは1番人気だったが皐月賞の敗戦を引きずるように2着に敗れた。同じ失敗はしたくなかった。毎日杯優勝後は早々と皐月賞回避の方針を打ち出し、他馬がしのぎを削っている間に黙々と坂路を上がって末脚に磨きをかけた。「皐月賞を使わないことで周囲からいろいろ言われたが、自分がやったことが正しかったと証明できた。今年は1番人気に応えることができた」。昆師にようやく笑みが浮かんだ。
 気になる今後について指揮官はこう言った。「この内容ならダービーに行ってもいいかな」。2年連続ダービー制覇を目指す四位もこう話した。「距離こそ未知だが折り合いの心配はない。当然、有力馬の1頭だし、ぜひ行ってもらいたい」。まれに見る大混戦ダービー、ついに真打ちが現れた。

 ▼ディープスカイ 父アグネスタキオン 母アビ(母の父チーフズクラウン)牡3歳 栗東・昆厩舎所属 馬主・深見敏男氏 生産者・北海道浦河町の笠松牧場 戦績10戦3勝 総獲得賞金1億6153万円6000円 主な勝ち鞍は毎日杯、NHKマイルC。

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2008年5月12日のニュース