「ばけばけ」最終回 初回に戻る劇的展開 いつ発想?最後の台詞「散歩」「ばけ×2」に込めた脚本家の思い

[ 2026年3月27日 08:15 ]

「ばけばけ」脚本・ふじきみつ彦氏インタビュー

連続テレビ小説「ばけばけ」最終回(第125話)。ラストシーンは初回冒頭、東京・大久保の家の書斎に戻り、雨清水トキ(髙石あかり)とレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)は…(C)NHK
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 女優の髙石あかり(23)がヒロインを務めたNHK連続テレビ小説「ばけばけ」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は27日、最終回(第125回)を迎え、完結した。主人公・雨清水トキによる夫レフカダ・ヘブンの回想録「思ひ出の記」が完成。ラストシーンは初回(昨年9月29日)冒頭に戻る劇的な展開となった。派手さはなくとも、泣き笑いを誘う会話劇で見る者を魅了し続けた脚本家・ふじきみつ彦氏(51)に執筆・作劇の裏側を聞いた。

 <※以下、ネタバレ有>

 「バイプレイヤーズ」シリーズやNHK「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」など会話劇に定評のある、ふじき氏がオリジナル脚本を手掛けた朝ドラ通算113作目。松江の没落士族の娘・小泉セツと、その夫で日本の怪談を世界に紹介した明治時代の作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)をモデルに、怪談を愛してやまない夫婦の何気ない日常を紡いだ。

 最終回は、雨清水トキ(髙石あかり)は家族に見守られながら、錦織丈(杉田雷麟)にレフカダ・ヘブン(雨清水八雲)(トミー・バストウ)との思い出を語る…という展開。

 丈が「“フロッグ”コート」の勘違いに気づき、一同は爆笑。トキの懺悔は逆転する。松野フミ(池脇千鶴)は「他愛もない、ほんに他愛もない、素晴らしな毎日だっただない」――。トキは滂沱(ぼうだ)の涙を流した。

 トキの手に蚊が止まる。ヘブンの生まれ変わりに違いない。

 「『KWAIDAN』は二人の死後、世界中で大ベストセラーとなった」

 「トキが語った言葉は『思ひ出の記』という一冊の本になった」

 長男・勘太(ウェンドランド浅田ジョージ)と次男・勲(柊エタニエル)が本を開く。「REMINISCENCES OF LEFKADA HEAVIN BY TOKI USHIMIZU(Mrs.Heavin)(思ひ出の記)」。それは、トキとヘブンの何気ない日常――。

 エンディングに持ってきたオープニングタイトルバック=「思ひ出の記」という仕掛け。写真家・川島小鳥氏によるスナップ写真に、数々のドラマ名場面を加えた最終回仕様の“スペシャルタイトルバック”となった。

 夫婦デュオ「ハンバートハンバート」による主題歌「笑ったり転んだり」がほぼフルサイズで流れた後、場面は初回冒頭に戻る。東京・大久保の家の書斎。ロウソクが灯る。

 <初回>

 トキ「(『耳なし芳一の話』を語り終え)それでは、もう一つの話、よろしですか?それは明治の初め、武士の世が終わったばかりの、それはそれは恨めしい時代のことでございます。(ロウソクに火をつけ)では、私トキの話を」

 <最終回>

 トキ「これが、私トキの話でございます」

 ヘブン「ママサン…スバラシ…」

 トキ「パパさん…お散歩行きましょうか」

 トキがロウソクを吹き消す。「ドコニ、サンポスル?」「えー、お寺?」「スキップ、シマショウカ?」「ここで?」「(2人で)タッタタッタ…」――。

 ふじき氏は「先を見通して書くのが、あまり得意ではないタイプ」を自認。「割と書き進めながら、ああでもないこうでもないと話の筋道をつけていくスタイルなので、何を書くか決まるまでは苦労した時もありますが、決まってしまえばすんなり筆は進みます」。1年8カ月にわたった長丁場の執筆は、一歩一歩の積み重ねだった。

 最終週にちりばめられた台詞やアイデアも、当初から決めていたものではなく「最後の“曜日割り”(月曜から金曜までのプロット作り)の時に“よし、書くぞ”となってから思いついたものです」と振り返る。

 「フロックコート(特に昼間の、男性用の礼装)」と「フロッグ(蛙)コート」の言い間違いも、ふじき氏らしい言葉遊び。「これに関しては、トキが自分の人生について“うらめしい。けど、すばらしい”と気づかされる流れを描くためのモチーフを探していて、本打ち(脚本の打ち合わせ)で話し合って『思ひ出の記』から使わせていただくことに決まりました。蛇と蛙(阿佐ヶ谷姉妹・渡辺江里子と木村美穂)から発想したわけではなく、後になって、そういえば蛇と蛙もいたな、と思うぐらいで(笑)」。八雲がフロックコートを好んでいなかったことは、13年8カ月にわたる結婚生活をセツさんが口述した回想録「思ひ出の記」に記されている。

 ラストシーンで初回冒頭に戻る展開も「最終週を書き始めてから“ふっとロウソクを吹き消して終わりたいな”と思い始めて。なので、第1週を書いた時点では最終回のことなんて考えていなくて“では、私トキの話を”という台詞も、あくまで“これからドラマが始まります”という意味合いでした」と明かした。

 最後の台詞は「お散歩行きましょうか」。今作の制作にあたり、重要な参考文献となったのが「思ひ出の記」。小泉夫妻がよく散歩をしていたことが分かる内容で、ドラマにおいても「散歩」がキーワードになった。

 「言ってしまえば、トキとヘブンの人生はずっと散歩をしてきたようなものだと思うんです。うらめしいこともあるし、ハンバートハンバートさんの歌詞にもあるように、何があるのか、どこに行くのかも分からないけれど、2人が寄り添って歩いてきたわけで。『ばけばけ』というタイトルも、トキが“化ける”話とヘブンが日本に来て“化ける”話、2つ並んで初めて『ばけばけ』になります。そういう夫婦の物語として描いてきた作品なので、最後に“散歩”という言葉が出てきたのも自然なことだったと実感しています」

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