「ばけばけ」演出語る吉沢亮の凄み&裏側「静かな湖の遠くに…」錦織ラスト微笑みは一発撮り 和やか撮了
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女優の髙石あかり(23)がヒロインを務めるNHK連続テレビ小説「ばけばけ」(月~土曜前8・00、土曜は1週間振り返り)は13日、第115回が放送され、俳優の吉沢亮(32)が好演してきた“第3の主人公”錦織友一の最期が描かれた。親友レフカダ・ヘブンの作家魂を焚きつける「リテラリーアシスタント(創作活動の手助け役)」としての最後の仕事に、涙の視聴者が続出。インターネット上には“錦織ロス”が広がった。トレーナーの指導の下、吉沢は約1カ月間で約13キロの減量を敢行し、錦織の生き様を体現。第23週を担当したチーフ演出の村橋直樹監督に撮影の舞台裏、吉沢の魅力を聞いた。
<※以下、ネタバレ有>
「バイプレイヤーズ」シリーズやNHK「阿佐ヶ谷姉妹ののほほんふたり暮らし」など会話劇に定評のある、ふじきみつ彦氏がオリジナル脚本を手掛ける朝ドラ通算113作目。松江の没落士族の娘・小泉セツと、その夫で日本の怪談を世界に紹介した明治時代の作家・小泉八雲(ラフカディオ・ハーン)をモデルに、怪談を愛してやまない夫婦の何気ない日常を描く。
第115回は、錦織友一(吉沢亮)に焚きつけられたレフカダ・ヘブン(トミー・バストウ)の新著「東の国から」が完成。届いた本を開き、扉に書かれた英文が目に入ると、錦織は微笑んだ。「この世はうらめしい。けど、すばらしい。」。錦織もそう実感したのであってほしい。
錦織が最後に微笑むのは台本通り。常々「演出の役割は環境を整えること」と語る村橋監督は「ふじきさんからボールが投げられていますし、この表情に向けて撮影を積み重ねてきたわけですから、僕が言うことは何もありません。普通は照明との兼ね合いなどもあって“引きの画”から撮るんですが、鮮度のいいうちに表情を収めてあげたかったので、まず最初に吉沢さんの目の前にカメラをパッと1台だけ置いて“さ、やりますか”と。先に表情を撮って、引きの画は後から。僕にできたのは、そのぐらいです」。その微笑みは一発OK(一発撮り)だった。
「東の国から」の扉に書かれた英文の和訳を読む、錦織最後の台詞「出雲時代のなつかしいおもいでに 錦織友一へ」は「ページを開いた瞬間の声じゃなく、ある種、冷静で淡々とした語り口の方がいいと思って、別のタイミングで録らせていただきました」。モノローグは別録りだと明かした。
吉沢が撮影終了を迎えたのは、錦織が松江大橋でヘブンを焚きつけるシーンのロケ。「2人のコントラストをより鮮明にしたかったので、ここは僕の方からトミーさんを焚きつけて(笑)、本番では激高の度合いを強くしました。吉沢さんはトミーさんのお芝居をきっちり受けつつ、多少声を荒らげても冷静さはキープ。いつも通り軸がブレないのが、素晴らしかったですね」。ケンカ別れと思いきや、松野トキ(髙石あかり)に明かした「焚きつけたんだ。リテラリーアシスタントとしての最後の仕事だ。あの人は、本当に世話が焼ける」に効く展開だった。
ヘブンが錦織につかみかかる緊迫の場面だったが、カットがかかれば現場は和やかなムードに。制作統括の橋爪國臣チーフ・プロデューサーは「もちろんトレーナーさんが付いた、安全な減量でしたが、無事にクランクアップを迎えることができて、胃に優しい雑炊から食べて、とみんなで労いました。次はミュージカル(今年7月開幕『ディア・エヴァン・ハンセン』)で歌と踊りだなんて大変だね、と世間話をしたり。これまで感謝は十分伝え合っていたので、吉沢さんもいつもと変わらず“お疲れさまでした~”とサッパリしたものでした(笑)」と振り返った。
村橋監督は報道系の制作会社を経て、2010年にNHK中途入局。13年から専門外だったドラマ制作に転じ、「透明なゆりかご」「サギデカ」と2年連続で文化庁芸術祭大賞に輝いた。朝ドラに携わるのは15年度前期「まれ」(第18週の演出担当)以来2回目。小日向文世が今作で祖父・松野勘右衛門役を演じたのは「まれ」が縁となった。
吉沢との作品作りは、セカンド演出を務めた21年の大河ドラマ「青天を衝け」以来2回目。大河・朝ドラと長期の撮影を共にした村橋監督が知る俳優・吉沢亮の凄みとは?
「例えば、浴室のような狭い空間にスーパーボールを投げ込んだとします。ボールは跳びはねて、どこにどう返ってくるか、分からない。これが、次はどういう表情をするんだ?という、髙石さんのお芝居から目が離せない魅力だと思うんです。吉沢さんは対照的で、例えば、静かな湖の遠くの方にボールを投げるような感覚。遠くで音がして、最初はボールが着水したのか分からないけれど、水面に広がる波紋がちゃんとこちらに届く。第95回(2月13日)のラストで、松江を離れるヘブンを見送りに船着き場に行かなかった錦織のワンショットを45秒ほどオンエアに使いましたが、まさにあれですよね。台詞がなくても見ていられる、いや見ていたいのは、遠くの方で彼の感情が動いているから。見る側は、それが何なのか探りたくなるんですよね。『青天を衝け』の時から変わらない、吉沢さん特有の“質”だと思います。演出というのはボールを投げることしかできなくて、僕は“こういうふうにボールを返してください”とは言いたくないんです。タイプこそ違いますが、お二人にボールを投げるのは、毎回楽しくて仕方がなかったですね」
「青天を衝け」は徳川慶喜(草なぎ剛)ら幕府側のストーリーを撮ることが多く「登場人物の退場回もよく担当したんですが、吉沢さんは主役なので、最終回までいなくなりませんし(笑)。今回は吉沢さんと錦織を最後まで撮ることが叶って、本当にうれしく、ありがたい限りでした」。3回目のタッグが待ち遠しい。
16日からは第24週「カイダン、カク、シマス。」。八雲の代表作「怪談」誕生がついに描かれる。
偶然にも“錦織ロス”から2日後、今月15日は西田千太郎の命日。18歳から亡くなるまで過ごした旧居(松江市新雑賀町)は保全・修繕のためのクラウドファンディングを実施している。
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