劇場へGO「秋だ!笑いだ!松竹新喜劇 九月公演」(28日まで、大阪松竹座)

[ 2025年9月24日 15:30 ]

「駕籠や捕物帳」で身分を隠し市中見回り中の領主を熱演する辰巳ゆうと(右)。駕籠屋の弥太(左=曽我廼家桃太郎)、直作(藤山扇治郎)との軽妙なやり取りで客席の笑いを誘った(C)松竹
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 大阪松竹座が来年5月に閉館することになり、長らく本拠地としてきた松竹新喜劇をここで見られるのはこれが最後。道頓堀から芝居小屋が消えることに言い尽くせないほどの寂しさがこみ上げてくるが、最後にふさわしいにぎやかで、笑いあふれる、そして華やかな舞台に仕上がった。

 その華やかさを演出したのが演歌界のプリンスで、初のゲスト出演となった辰巳ゆうと(27)。爆笑喜劇の代表作「駕籠や捕物帳」で、藤山寛美も演じたすっとぼけた殿と盗賊の2役を熱演した。出来上がっている劇団に初出演も違和感なく、出過ぎず、引っ込みすぎず。浪人笠をかぶっての花道の出も、スッキリした背筋、着物の裾からチラリとのぞく足の運びに「きっとイケメンが出てくるに違いない」と思わせる。期待通りの登場場面に加えて“真ん中オーラ”もばっちりだった。

 見どころは「市中見回り」という名の“美人捜し”に出かける領主・前田能登守(辰巳)と、茶屋でたまたま出くわす2人の駕籠屋とのかみ合わない会話のやりとり。庶民の言葉遣い、食べ物、暮らしっぷりをまるで知らない殿と“ザ庶民”のアホな会話のすれ違いが爆笑を誘う。その駕籠屋の2人が、今後の松竹新喜劇を背負う藤山扇治郎(38)に曽我廼家桃太郎(39)。「段取り」になってはいけない会話の応酬が難しいところで千秋楽に向け、もっと磨きがかかるだろうと期待する。

 もう1本は初演から73年たっても心に響く「愚兄愚弟」。どうしようもなくいがみ合う兄弟が、やがて雪解けを迎える様子に温かみを感じる名作を渋谷天笑(41)、曽我廼家一蝶(43)が挑んだ。

 松竹新喜劇は来年1月、京都南座での公演が決まっているものの大阪での劇場を失うことでどう闘っていくのか。「あ~面白かった」だけではない「ええ芝居やったなぁ」と思える松竹新喜劇の神髄をぜひとも劇団として伝え続けていってほしい。(土谷美樹)

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