【細川たかし 我が道17】生放送で…紅白史上初の歌い直し事件

[ 2025年6月18日 07:00 ]

84年の紅白で「浪花節だよ人生は」を歌う細川たかし
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 2年連続で日本レコード大賞受賞というのは史上初の快挙でした。おかげで翌1984年は忙しくて、上半期だけで4枚も新曲を出しました。「新宿情話」「ビクトリー」「旭川恋の町」「星屑の街」です。「ビクトリー」はプロ野球セ・リーグの応援歌、「星屑の…」はサントリーのCMソングと企画ものでした。

 春先、草津にスキーに行っていると、周防郁雄社長から電話。「すぐ帰ってきてレコーディングをしなさい」という指示でした。浪曲師の二代目木村友衛さんが81年に出した「浪花節だよ人生は」(詞・藤田まさと、曲・四方章人)という作品を気に入り、「木村さんの女性版とは別に、たかしが男版を出せばいい」という発想でした。ちあきなおみさんの「矢切の渡し」を私も歌い、みんなでヒットさせたという成功体験があったからです。この周防社長の勘、読みは間違っていませんでした。

 私は8月21日に発売しましたが、こまどり姉妹が8月1日、水前寺清子さんが8月5日、祐子(現裕子)と弥生が9月5日に発売、とこの曲も16人もの歌手による競作になりました。唯一の男性の私は40万枚、全員の売り上げを合算すると150万枚という大ヒット曲になったのです。

 結果、大みそかの第26回日本レコード大賞で最優秀歌唱賞を受賞しました。最優秀新人賞、レコード大賞、最優秀歌唱賞の3つ(3冠)受賞は当時、都はるみさんしかおらず、2人目の快挙です。しかし、当時はそんなことを全く意識していませんでした。

 問題はその後のNHK「第35回紅白歌合戦」です。78・1%という驚異の高視聴率を記録した年。前半戦の最後に、水前寺さんと私の「浪花節だよ人生は」の同一楽曲対決が組まれました。先に水前寺さんが元気に歌い上げ、いよいよ私の出番。会場の盛大な拍手も心地よく、つい「皆さん、ご一緒に!」と、景気づけの呼びかけまでやってしまいました。

 本当は♪飲めと言われて素直に飲んだ…と歌い出すのですが、なぜか♪肩を抱かれてその気になった…と、その後のフレーズで歌い始めてしまったのです。続けてまた♪肩を抱かれて…と歌わなければならなくなり「すいません。間違えました」と歌を止めて、謝ってしまいました。歌い直した間奏で「申し訳ございません」と再び謝罪もしました。生放送の「紅白」史上初の歌い直し事件です。楽屋に戻ると、村田英雄さんや三橋美智也さんら先輩が「ついにやったね。誰が最初にやるかと思ったら、やっぱりたかしか」とみんな大喜びでした。

 その後に大トリの都はるみさんが引退前最後の歌唱でした。その際アナウンサーによる「ミソラ発言」事件が起きました。おかげで「たかしの間違いが誘発した」といわれなき非難を浴びました。1日おいた1月2日は大阪・梅田コマ劇場での正月公演初日です。意図的に♪肩を抱かれて…と間違えてみせると会場は大爆笑に包まれました。しっかりと「実」を取りました。

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