師走の風物詩「義士伝」 時代を超えて語り継がれる…それなり理由があるからこそ
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【笠原然朗の舌先三寸】師走といえば「義士伝」。赤穂四十七士が主君、浅間内匠頭の仇討ちで吉良上野介邸に討ち入り、そろって切腹して果てた史実に基づいて作られた物語で、12月は寄席や芝居の演目としてかかることも多い。
興行主にとって「困ったときの義士伝頼み」という言葉もあるらしい。少し前までテレビの長時間ドラマなどでも放映されていた。
6日、浅草・木馬亭の浪曲定席(毎月1~7日)では講談を挟んで8席中、3席が義士伝。トリを取った東家一太郎が演じる前に「落語の寄席ではネタがかぶらないようにしますが、浪曲は別。3席目の義士伝です。諸先輩たちもやっていたので…」と、言い訳ともつかないマクラで笑いをとってから「大高源吾腹切り魚の別れ」を演じた。相三味線の曲師は妻の東家美(みつ)。
仇討ちを決行するために四十七士が江戸へ向かう旅を義士伝では「東下り」と言っている。登場人物を代えて旅の道中を題材とした物語も多い。「大高源吾――」もそのうちの1つ。
通常の公演では、曲師はついたての陰に隠れて顔は見えないが、この日はついたてを取って、夫婦共演を客席に披露する趣向。私は演じている両者の表情が見えるのでこちらの方が楽しい。
浪曲は三味線を伴奏にした歌の部分に当たる「節」と、登場人物どうしのセリフ(啖呵)や情景描写、説明などの「語り」で構成される。落語や講談と違ってこの「節」の部分が浪曲の真骨頂。「歌」ではあるが譜面はない。もちろん基本的なむメロディーラインはあるものの演者ごとに「節」が異なるのが特徴だ。
節が展開していく中で、クラシック音楽の譜面記号でいう「アレグロ」(速く)、や「ヴィバーチェ」(活発に)、「プレスト」(急速に)もあり、浪曲師と曲師が心を1つにしての掛け合いを演じる。聞かせどころである。
一太郎、美の夫唱婦随。美の表情に注目して見ていると、掛け合いがばっちり決まったときには「どんなもんだい」とばかりに口角が上がる。楽しんで演奏しているのがわかる。そういう思いは客席に伝わるから、聞き終えてとても温かい気分になった。
赤穂浪士討ち入りの日は、1702年(元禄15年)12月14日(旧暦)。なので師走は「義士伝」の月ということになる。
300年以上前の話で、いまに残る物語だ。だが「大石内蔵助」「四十七士」「吉良上野介」という漢字が「おおいしないぞうすけ」「よんじゅうななし」「きちよしうえのかい」と平気で読まれる現代。「義士伝」の物語の中に通奏低音のように流れている「武士道」「忠君」「仇討ち」「義侠」の心がイマドキの人たちに通じるのかも怪しい限りだ。
会社など組織の中では「パワハラ」「モラハラ」「コンプライアンス」が日常用語として通用し、「SDGs(エスディージーズ)」を目標とする社会の文脈で「義士伝」の物語を読み直してみると、「ダメなトップのしくじりで大迷惑を被ったのにもかかわらず、モラハラ、パワハラ当たり前の組織の中で、1つの価値観のもと徒党を組み、平和を乱す仇討ちという蛮行を選択。自らの将来を投げ打ち、理不尽に殉じる者たちの物語」となるのではないか?
なら「義士伝」は、古くさくて日本人の心に響くものが何もないかというとそうではない。
現代社会に目を向けると中古車販売・買い取り会社「ビッグモーター」を例にとるまでもなく、社会ではダメなトップのせいで迷惑を被る人たちはたくさんいる。岸田政権もまたしかり。
「社畜」として低賃金、長時間労働で社員をこき使うブラック企業もある。モラハラ、パワハラ当たり前の組織は消えることはない。世界に目を向けると各地の紛争で「報復」と名を変えた「仇討ち」は日常茶飯事。300年の時を経ても、人間の本質はあまり変わらない。
いつの時代でも、人は生きている限り、自らを取り巻く状況の中で、自分は何を選択し、どう生きるべきか?は問われ続ける。
「義士伝」で主に描かれるのは、仇討ちを選択し「本懐を遂げた」末に確実に待つ「死」というゴールを前にした義士たちの生き様とそれを取り巻く人たとの交情と別れ。手放しで「美談」と賞賛する気はないが、散る花を愛でるのは日本人の心象風景に合う。
「温故知新」とも言う。時代を超えて語り継がれるのにはそれなりの理由がある。
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