給付金詐欺 東京国税局職員や大手証券マンら逮捕に専門家「信用を利用して人を集めた可能性も」

[ 2022年6月2日 19:15 ]

TBS社屋
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 新型コロナウイルス対策の持続化給付金をだまし取ったとして、東京国税局職員の男らが警視庁に逮捕された事件について、給付金の不正受給に詳しい元検事で弁護士の上原幹男氏が2日、TBS系「Nスタ」(月~金曜後3・49)にリモートで生出演し、解説した。

 警視庁は2日、詐欺の疑いで鶴見税務署員(24)ら男女7人を逮捕したことを発表した。7人は、高校生や大学生ら約200人を個人事業主に仕立て上げ、虚偽の持続化給付金の申請書を作成させ、総額約2億円の大半を暗号資産に投資していた疑いが持たれている。7人の中には大手証券会社の社員もいた。

 国税局の現役職員が、税金対策の抜け穴を突いて詐欺容疑で逮捕されるという異例の事態。上原氏は「もしかしたら“国税局の人が大丈夫と言っている”とか、“証券会社の人も大丈夫と言っている”といった形で、信用を利用して詐欺をする人を集めた可能性はあると思います」と、事件の背景を推測した。

 事件では指南役、中間役といったように、7人の役割分担がされていたとみられている。上原氏は「指示役とか中間役と呼ばれていた立場の人たちは、逃げ切ろうと思っていたのではないかと。そうでなければ、リスキーなことはできないと思います」と分析した。

 持続化給付金をめぐっては、迅速な給付を重視した結果、十分な審査がされないまま給付された例も数多く報告されており、自主返納や詐欺事件も多発している。上原氏は「どうしても迅速性と審査の厳格さは、どちらかに寄せればどちらかが減っていく性質にはなります」と解説。「今後、このような悪用を減らしていくのであれば、より審査を厳格化する必要があります。そうすると、厳格化してもなるべく早くお金を支給できる、という仕組みが必要になってくる」とし、「デジタルを活用してなるべく審査を効率的に進むように、仕組みを整えていく必要がある」と指摘した。

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2022年6月2日のニュース