新納慎也“映像待ち”の20代“心が摩耗”の30歳も「芝居をしたいだけ」40代「真田丸」で飛躍
新納慎也インタビュー(下)
Photo By 提供写真
昨年のNHK大河ドラマ「真田丸」で豊臣秀吉の甥・豊臣秀次を好演した俳優の新納慎也(42)が正月時代劇「風雲児たち〜蘭学革命篇(らんがくれぼりゅうしへん)〜」(来年1月1日後7・20、総合)に出演する。今や日本ミュージカル界を支える1人になったが、30歳の頃には「心が摩耗」し、休養を申し出た過去も。20代は映像の仕事に恵まれず、悔しい思いもしたが、40代になってドラマでも実力を発揮。「結局、僕はスターになりたいんじゃなく、芝居をしたいだけの人」。活躍のフィールドが増え、さらなる飛躍が期待される。
「真田丸」の脚本を担当し、ブームを巻き起こした劇作家・三谷幸喜氏(56)の新作脚本ドラマとして、さらに「真田丸」のキャスト23人(発表分)が再集結して注目される今作。「真田丸」の後、三谷氏の新作ドラマ脚本は今回が初。原作は今年、画業50年を迎えた漫画家・みなもと太郎氏(70)の同名大河歴史ギャグ漫画。今回は片岡愛之助(45)と新納を迎え、前野良沢と杉田玄白による“蘭学事始”のエピソードを描く。
西洋医学書「ターヘル・アナトミア」の日本初の和訳に一心同体で取り組んだ良沢(愛之助)と玄白(新納)の2人。鎖国ド真ん中の江戸中期に革命的な翻訳を成し遂げた。しかし、刊行された「解体新書」に良沢の名前はなく、名声は玄白だけのものとなった。2人の間に一体、何が起きたのか…。笑いとサスペンスに満ちた新しい三谷流歴史ドラマが生まれる。
16歳の時、出身の神戸でスカウトされ、モデルとして芸能界入り。この世界を目指したことはなく、モデルもアルバイト感覚で始めたが「結構、最近になって親から聞いて、僕は覚えていないんですが、小さい頃、縄跳びの切れた紐をマイク代わりにしてテーブルの上で歌っていたそうです。カギっ子だったので、親が帰ってくるまで映画館にいたり。当時は入れ替え制じゃなかったですからね。もともとエンターテインメントの世界は割と好きな子供だったと思います」と明かした。
とあるファッションショーのメインモデルに選ばれた時、リハーサルで「この衣装とメイク、この音楽と照明なら、このポーズとこの顔でしょ?と自分なりに表現したのですが、演出家さんから『真っすぐ立って。服がシワになるから』と言われて…。自分がやりたいことはモデルじゃないな、と。自分の中から湧き出るものを、ちゃんと表現したいと思いました」と俳優を志し、大阪芸術大学舞台芸術学科演劇コースに入学。2年生を終え、自主退学し、20歳の時に上京した。
その後、ミュージカルを中心に活動。2000年、25歳の時には大ヒットミュージカル「エリザベート」(東宝版初演)に初代トートダンサー(黄泉の帝王トートの分身)として出演。圧倒的な人気を集めた。02年にはミュージカル「GODSPELL」の主演に抜擢。三谷氏作・演出の「恐れを知らぬ川上音二郎一座」(07年)などでストレートプレイにも進出し、09年には三谷氏作・演出のミュージカル「TALK LIKE SINGING」に主人公(香取慎吾)の親友役で起用され、念願のオフ・ブロードウェーデビューを叶えた。
昨年の「真田丸」はインターネット上に“秀次ロス”が広がる大反響。着実に歩みを進めてきたように見えるが、30歳の頃には「絶対に人前に立ちたくない」と半年間の休養を申し出たことがあった。
「役者というのは、生身が評価されるわけじゃないですか。名指しで評価されることが怖かったですし、当時ありがたいことに、とにかく仕事が続いていて、アウトプットばかりで自分の中のストックが何もなくなって…。芝居というのは、日常生活に起こらないからこそ舞台やドラマになるわけで、普段の暮らしより感情が動いて精神をすり減らすので、心がどんどん摩耗していって、何も感じなくなってしまったんです。病気とかじゃないんですが、そんな精神状態の人間が役者なんかしていたらダメだと思い、仕事を全部空けてもらいました」。ただ「2カ月ほどでお金がなくなり、仕事を再開しました」と笑い飛ばしたものの、いい充電期間に。「やるしかない」と前向きになった。
来年、そして今後の目標を尋ねると、まず今年は後厄だったと切り出し「役者は“役が付く”のはいいことなので『厄払いしたらダメ』と言われていて。僕も前厄から厄払いはしていません。前厄の時は『真田丸』のお話を頂いて、本厄の時はまさに秀次を演じていましたし、後厄は今回の『風雲児たち』と、本当に役が付いているんです。2018年は厄年が終わりますが、役がもっと付く年になればいいなと思います」と抱負を語った。
「20代の頃はスターを夢見て、舞台のスケジュールを空けて映像の仕事を待ったりもしました。舞台は2年先とかのスケジュールが埋まってしまい、急にドラマのオファーがあっても応えられないので」。しかし、三十路を迎え「スターは来世で、と思ったわけです」と笑って振り返り「映像のオファーはなくても、舞台のお話は途切れなく頂いていたので、会社にも『もう舞台のオファーを断ってまで“映像待ち”はしない』『とにかく舞台の仕事はスケジュールさえ合えば、やる』と伝えて、その頃から自分のことを舞台俳優と言うようになりました。そんな僕が40歳を超えて、まさか、こんなにドラマに出るなんて、自分でも思っていなかったですね」と率直に打ち明け、自ら驚いた。
「結局、僕はスターになりたいんじゃなく、芝居をしたいだけの人。最近、映像の分野で芝居をするフィールドを増やしていただいたので、今後の目標としては、ありきたりですが、舞台に映像に垣根なく、いろいろな仕事を続けさせていただけたら、うれしいです」。取材の場が和む明るい素のキャラクターと語り口も魅力的。来年は「風雲児たち」を皮切りに、輪をかけて大暴れしそうだ。
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