古舘伊知郎、無声映画の弁士に初挑戦「魅惑の箱を開けずには…」

[ 2016年9月23日 06:30 ]

無声映画の弁士に初挑戦する古舘伊知郎

 フリーアナウンサーの古舘伊知郎(61)が無声映画の弁士に初挑戦することが決まった。

 活動弁士(活弁)を務める作品は、1928年製作の無声映画「血煙高田の馬場」。戦前の時代劇のスター・大河内傳次郎が主演した名作で、10月25日から開催される「第29回東京国際映画祭」のクラシック部門の目玉企画として同27日に東京・銀座の歌舞伎座で上映される。

 同祭は日本のクラシック映画の魅力を広く伝えるため「日本の一流のしゃべり手」(関係者)として古舘に出演を打診。古舘は「しゃべり手ならば、今、活弁という魅惑の箱を開けずにはいられない」と快諾した。当日は海外からの観客のため、英語の同時通訳が実施される。古舘は世界の映画ファンを相手に、伝統的な活弁の枠を超えたアドリブ満載の古舘節をさく裂させることになる。

 「血煙高田の馬場」の現存するフィルムは作品の一部で7分程度だが、大河内傳次郎が敵を斬りまくるクライマックスシーン。プロレスやF1などの中継で魅力を発揮した古舘の語彙(ごい)豊富なアナウンス力を十分に生かせる。

 古舘は「スター弁士の口調を模写、再現するのは付け焼き刃じゃできないが、これまで落語、講談の道中付け(地名や風景などをテンポよく語ること)、香具師(やし)の啖呵売(たんかばい)を少しかじってきた身としては、面白い活弁ができそうな気もする」と勝算ありの様子。アドリブについても「しゃべりで何をプラスしていくか、言葉探しの“脳内決闘劇”を繰り広げている」と準備を進めている。

 ◇「血煙高田の馬場(ちけむりたかだのばば)」 「時代劇の父」とも呼ばれた伊藤大輔監督の作品。フィルム計11巻のモノクロ無声映画だが、1巻しか現存していない。「忠臣蔵」で知られる赤穂浪士・堀部安兵衛の浪人時代(当時・中山安兵衛)の物語。安兵衛は、おじが多勢に無勢の決闘に臨むことを知って助太刀のため現場まで駆け付け、18人もの敵を斬り倒す。

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