高倉健7年ぶり舞台あいさつ ロケ地・平戸市に恩返し

[ 2012年8月17日 06:00 ]

試写会舞台あいさつを行った(左から)綾瀬はるか、木山キミさん、高倉健、三浦貴大

高倉健主演映画「あなたへ」上映会

 高倉健(81)が6年ぶりに主演する映画「あなたへ」(監督降旗康男、25日公開)の上映会が16日、舞台となった長崎県平戸市の文化センターで行われた。同市は映画館がなく、撮影に協力してくれた住民に映画をぜひ見てほしいという高倉の思いから実現。最後は撮影中に“茶飲み友達”となった88歳のおばあちゃんを中央に迎えて写真撮影するなど、健さんらしい温かい上映会となった。

 高倉は舞台あいさつ後、映画撮影中に「茶飲み友達になった」という木山キミさん(88)を隣に呼び寄せた。そして肩を抱いて写真に納まった。映画に出ていない人が、綾瀬はるか(27)三浦貴大(26)ら出演陣の“センター”に立つのは異例だ。

 劇中の「濱崎食堂」に隣接する木山さん宅を毎日のように訪れ、世間話をした仲。2人合わせて169歳。小さな港町には休憩する場所もなく、高倉にとって撮影の合間の貴重な息抜きだったようだ。木山さんは「遠い雲の上のような人なのに…。こんなこといいのかしらと思っていました」とほほ笑んだ。

 富山刑務所の指導技官役の高倉が「故郷の海に散骨してほしい」という妻の思いを受け、平戸市鏡川町の薄香(うすか)港まで1200キロを車で旅する物語。薄香では昨年10~11月に、延べ8日間の撮影を行った。散骨シーンは同港の漁師が船を提供。嵐のシーンは地元消防団がホースを使って演出した。エキストラでも多くの人が参加するなど、町ぐるみの協力を得た。

 旅先で一期一会の出会いを経て、人と人との絆の大切さに気付く物語。撮影中にできた絆は高倉にとって大切なものだった。同市に映画館が40数年間ないと聞き「じゃあ映画を見られないの?皆さんにも見てほしい」との思いを持ち続けてきた。今回の上映会は高倉の強い希望から実現した。

 高倉が大勢のファンの前に姿を現すのは7年ぶり。05年の東京国際映画祭で行った中国映画「単騎、千里を走る。」(06年日本公開)以来の舞台あいさつだ。「久しぶりにこういう高いところに立ち、緊張しています。大変お世話になりました。ありがとうございました」と感謝すると、市民ら300人の大きな拍手が会場を包んだ。

 高倉は、撮影終了後も木山さんに自著「あなたに褒められたくて」を贈るなど、交流は続いている。木山さんは「健さんには、たくさんパワーと健康をいただきました」と目を潤ませた。

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2012年8月17日のニュース