氷川きよし 避難者ギュッ!「頑張って」にファン感涙

[ 2011年10月1日 06:00 ]

 歌手の山川豊(52)、氷川きよし(34)ら6人が30日、福島第1原発事故を受け、福島県双葉町の住民らが避難している埼玉県加須市の旧県立騎西高校で慰問コンサートを行った。日本音楽事業者協会(音事協)による東日本大震災の被災地支援活動「演歌キャラバン隊」の第8弾。公演後の握手会では「抱きしめて」と氷川にハグでの激励を求める女性ファンが続出した。

 中高年の女性に絶大な人気を誇る氷川らの慰問。告知は1週間ほど前に行われたが、混乱を避けるため出演者は発表されていなかった。この日朝に出演者が明かされ、開演2時間前の午前11時ごろから会場前には長い列ができた。

 公演後に出演者の提案で急きょ行われた握手会でも、氷川に「抱きしめて」「ハグして」と求める女性ファンが続出。氷川が一人一人を胸に包み込み「頑張ってください」と温かい声をかけると、その胸の中で感極まるファンもいた。

 双葉町からは約1400人が同市に集団避難し、同校では約700人が今も避難生活を続ける。会場は「広さが適度で避難している方の邪魔にもならない」(音事協関係者)と選ばれた視聴覚室で、約200人が歌声に聞き入った。

 トップバッターで登場した氷川は「微力ながら、元気に明るい気持ちになっていただければ」とあいさつ。「きよしのズンドコ節」では「(掛け声で)きよしと叫んで、皆さんのストレスを僕にぶつけてください」と話し笑いを誘った。

 最後は出演者と観客全員で唱歌「ふるさと」を合唱。戻ることができない故郷を思い涙をぬぐいながら歌う避難者に、氷川は「きのうは戻ってこない。あすに向けて一緒に歩んでいきましょう」と力強く呼び掛けた。

 全18曲の“ステージ”。最前列にいた主婦(58)は「歌に夢中になって、将来の不安を忘れられた」と感謝。目を潤ませていた岸美代子さん(75)は「一生懸命歌っていただいて、元気づけられた」と話した。

 「アメリカ橋」などを歌った山川は「一生懸命聴いてもらえているのが伝わってきた」と振り返り、「松島紀行」などを熱唱した水森かおり(38)は「苦しみを一緒に乗り越えたい」と願った。

 「演歌キャラバン隊」は今回でいったん終了。音事協では今後も形を変えて被災地支援の活動を続けていく方針という。

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2011年10月1日のニュース