[ 2010年11月20日 06:00 ]

ヨーロッパ楽壇に出現した超新星アンドリス・ネルソンス

【アンドリス・ネルソンス指揮】

 今夏のバイロイト音楽祭に鮮烈なデビューを果たした超新星とウィーン・フィルの顔合わせ。公演当日の1日はまだ、31歳の若きマエストロは師匠であるマリス・ヤンソンスのコピーのような身振りながら、その才能は決してコピーではないことを窺わせる個性あふれる熱演を披露した。
まず驚いたのはオーケストラが良く鳴っていたこと。筆者の持論であるが良い指揮者はオケをよく鳴らすことが出来る。それは単に物理的に大音量を引き出すというだけではなく、パート間のバランスが上手く調整されているためオーケストラ全体が良く響くから起こる現象にほかならない。1曲目のモーツァルトの交響曲第33番からハッとさせられるほどの開放的で伸びやかな響きによって音楽が形作られていった。ドヴォルザークの交響曲第9番「新世界」でも鳴りの良さは同様だったが、加えてスラブの香りを感じさせる濃厚な表現が印象に残った。旋律のひとつひとつに鮮やかな隈取がされているかのような強い主張が感じられ、ウィーン・フィルをここまで自在に操る31歳、やはり只者ではない。

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2010年11月20日のニュース