ゴスペラーズ 阿久悠作品の“使徒”になる

[ 2010年5月30日 07:01 ]

提供写真

アカペラで伝えたい…阿久悠さん曲カバー発売

“美しすぎる銅版画家”小松美羽 阿久悠作品に“彩り”

阿久悠さん“幻の作品”を中西圭三が歌う

 07年に他界した作詞家阿久悠さん(享年70)の名曲を全編アカペラでカバーしたトリビュート盤「歌鬼3~阿久悠×青春のハーモニー」が7月14日に発売される。ボーカルのみで歌い上げることで、いまも色あせない阿久さんの言葉の力をより際立たせた企画。「多夢星人(たむせいじん)」のペンネームで書いた希少な未発表曲も収録される。

 阿久悠さんのトリビュート盤「歌鬼3」を全編アカペラとした狙いは、「時代のニオイを感じさせるもの=サウンド」を取り払い、「歌の本質=歌詞とメロディー」だけを残すことで、原点に戻り、阿久さんの残した「歌詞=言葉」を際立たせることにあった。

 「あの鐘を鳴らすのはあなた」「さらば涙と言おう」の2曲をカバーしたゴスペラーズの村上てつや(39)は「阿久さんのメッセージを伝える使徒になったつもりで歌わせていただきました」と話す。過去に阿久さんから「BOO~おなかが空くほど笑ってみたい~」(作曲筒美京平)の歌詞を提供されており、今回の参加アーティストでは唯一、阿久さんと“接点”のあるグループだが、本人と対面する機会はなかったため、メンバーは「それが本当に心残り。残念です」と声をそろえる。

 それだけに阿久作品への思い入れも強く、今回カバーした「あの鐘を…」について黒沢薫(39)は「小細工が通じない。歌詞の構造はシンプルなのに、ここ(胸)にガツンとくる。“これはちゃん歌わないと大変だぞ”と思いました」。安岡優(35)も「歌詞が歌手に挑戦してくるっていうか…挑戦っていうのは違うけど“答え”を求めてくるような感じがありますよね」と、プレッシャーを感じたことを認めた。

 「さらば涙と…」について、北山陽一(36)は「“さらば”とか“涙”とか“別れ”とか、悲しい意味に受け取られる言葉の羅列なのに全体として明るく前向きな歌になっているのは、すごいなと思いました」と話す。酒井雄二(37)は阿久作品全体について「その年代ごとに阿久さんの歌に“人生ってこういうものなのかな”と教わったような気がする」とも…。村上は「言葉だけで驚かせるというか、ジャンプさせるというか、あのエネルギーには敬服します」。

 作詞家として「言葉の魔術」で歌謡界を“支配”した阿久さん。その作品は“使徒たち”によって永遠に歌い継がれていくのかもしれない。

続きを表示

2010年5月30日のニュース