井上ひさしさんをしのぶ「筆が遅いと言われてもいたが…」

[ 2010年4月11日 09:49 ]

 ▼作家で日本ペンクラブ会長の阿刀田高さんの話 昨年夏、直木賞の選考会でお目にかかったのが最後だった。ペンクラブで井上さんが会長、わたしが専務理事という時期に特に接点があったが「皆さんが楽しめる文学」ということを常に考え、実践した方だった。重いテーマを楽しく、易しくというのが井上さんの姿勢。庶民的で偉ぶったところがまったくなく、わたしたちの時代を代表する作家の一人。故郷・山形の文化にも貢献され、行動力のある方だった。非常に残念だ。

 ▼劇作家別役実さんの話 井上さんは筆が遅いと言われてもいたが、骨太な作品を書き続け、歴史観を持っていて主張がはっきりしていた。“国民作家”と言われるにふさわしい劇作家だった。これから井上さんの作品を見る若い人にも伝わる、普遍的な問題を扱っている。あと数年は書き続けると思っていた。亡くなるのがちょっと早すぎた。

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2010年4月11日のニュース