革新的3D映画「アバター」あっさり興収世界一

[ 2010年1月27日 06:00 ]

 米映画「アバター」の全世界興行収入が25日(日本時間26日)、18億5500万ドル(約1670億円)に達し、97年公開「タイタニック」を抜いて史上最高額を記録した。ジェームズ・キャメロン監督(55)は「タイタニック」で1年半かけて樹立した記録を、わずか39日間で自ら更新。2月2日には第82回米アカデミー賞の各部門候補作が発表されるが、大量ノミネートは確実だ。

 世界的な景気低迷で更新はしばらく無理かとみられた「タイタニック」の興収記録(18億4000万ドル)が13年ぶりに破られた。現在約110の国・地域で公開されており、日本でも1カ月で70億円を突破した。
 当時、人気沸騰昇中だったレオナルド・ディカプリオ(35)を主演に据え、物語の知名度もあった「タイタニック」に対して、「アバター」は全くのオリジナル作品。主演はオーストラリア出身のサム・ワーシントン(33)で、名前で観客を呼び込めるほどではない。キャメロン監督がこの作品のために私財を投じて開発した3Dカメラによる革新的な映像で客足を伸ばしている。ホームシアター時代にあって、劇場で特殊メガネをかけないと体感できないのが特徴。
 公開当初は、青いエイリアンのようなビジュアルが不評で、業界内にはヒットを危ぶむ声もあった。しかし洋画関係者は口々に「あの立体映像を体験した観客から、口コミで広がるタイタニックのときと同じ現象が見られた」と指摘する。SMAPの木村拓哉(37)もラジオ番組で「3Dの使い方が違う。主人公の女性も始めの方は違和感があったけど、最後は涙した」と興奮気味に語っていた。
 世界各地では社会現象に。台湾では劇場で観賞中の中年男性が興奮しすぎて倒れ、病院に搬送。11日後に死亡した。病院側は否定したが、現地メディアは「アバター衝撃死」と大きく扱った。中国では、政府が出資した映画に観客が入らなくなるため「アバター」の公開館数を減らすよう指示したとも伝えられた。
 すでに第67回ゴールデングローブ賞で作品、監督と2部門を制覇。3月7日(日本時間同6日)に開催されるアカデミー賞でも大量受賞が期待される。オスカーの数でも「タイタニック」の同賞史上最多11部門を超えられるか、注目だ。

続きを表示

2010年1月27日のニュース