「しんちゃん」は不滅?“サザエ方式”で存続か

[ 2009年9月21日 06:00 ]

 90年に漫画で初登場し、92年にアニメ放送が開始された「クレヨンしんちゃん」。大人からも支持を得て「サザエさん」や「ドラえもん」と並ぶ国民的人気キャラクターとなった。作者の臼井儀人さんの急死を受けて、その存続が注目されるが、アニメを放送しているテレビ朝日の関係者は「どうしても続けたい」と話している。

 クレヨンしんちゃんは90年に「Weekly漫画アクション」(双葉社)で連載が始まり、92年にテレビ朝日系でアニメ放送が開始された。04年には舞台となった埼玉県春日部市から特別住民票が交付。06年には中学の公民の教科書に使用されるなど国民的人気キャラクターになった。テレビ朝日は「クレヨンしんちゃんの原作者としてのこれまでの偉大なる功績に感謝し、心からお悔やみ申し上げます」と追悼のコメントを発表した。
 アニメ制作の関係者は「しんちゃんは絶対やめたくない(コンテンツ)」と強調。しんちゃんは漫画、アニメの枠を超え、キャラクターグッズ、文具、食品など幅広く展開。ニッポンレンタカーなどのCMにも起用されている。08年に制作会社のシンエイ動画を子会社化したテレビ朝日にとって、しんちゃんは放送業界で重要視されている放送外収入の大きな柱となっており、放送をやめることは大きな痛手となる。
 放送中のアニメ(金曜後7・30)で、臼井さんの原作を生かしているのは5分の1ほど。残りは制作会社が脚本などを制作し、向こう3カ月分のストックもあるという。「サザエさん」などと同様、原作者が亡くなっても放送を続けることは可能だ。小学館関係者によると、96年に「ドラえもん」の原作者である藤子・F・不二雄さん(享年62)が死去した際、遺族がアニメ放送の打ち切りを求めたことがあったが、放送局側が説得して存続に至った経緯もある。
 アニメは現在秋の特番シーズンに入っているため、次回の放送は10月16日の予定。テレビ朝日は「今後のことは関係者の方々と相談して決めたい」としている。
 93年から年1度のペースで映画を配給する東宝関係者は「残念としか言いようがありません」。09年まで計17作で累計興行収入230億円を突破し「大人も子供も笑って泣ける映画」として定着した。02年の第10作「嵐を呼ぶアッパレ!戦国大合戦」は第6回文化庁メディア芸術祭・アニメーション部門大賞などを受賞し、「BALLAD 名もなき恋のうた」として実写映画化された。10年の第18作公開も決まっており、同関係者は「映画の存続はアニメ次第」としている。

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