拓郎 最後の全国ツアーで“生涯現役”誓う

[ 2009年6月22日 06:00 ]

生涯最後の全国ツアーをスタートさせた吉田拓郎

 歌手の吉田拓郎(63)が生涯最後の全国ツアーを21日、名古屋市の名古屋センチュリーホールでスタートさせた。慢性気管支炎でツアーを中断した07年10月以来1年8カ月ぶりのライブで、ブランクを感じさせない力強い歌声を披露。あえて新作を中心に歌い“フォーク界の旗手”といわれた過去の自身と決別。常に「いま」を歌う“生涯現役”を誓った。

吉田拓郎、がん闘病から弱虫復帰…そして伝説へ

 拓郎“最後の旅”のツアータイトルは「Have A Nice Day」。日本語で「またご機嫌よう」の意味。別れのあいさつながら再会が前提の言葉に、現在の心情を込めた。
 1曲目からバックメンバーを紹介。肺がんを克服した03年から組んでいる瀬尾一三氏(61)をバンドマスターに迎えた23人編成のビッグバンド。70年6月に「イメージの詩/マーク2」でデビューしてから40年目。ライブアーティストとして行き着いた理想形を誇るように高らかにメンバーの名を呼んだ。
 「マーク2」のほか、これまでのツアーで歌ったことのない曲も披露。年代はさまざまだが、共通するのはすべて「人生」を歌っていること。4月に発売された最新アルバム「午前中に…」の収録曲を要所に据え、ラストツアーをこれまでの集大成ではなく“現役感”で満たした。
 トークでは、全国ツアー撤退の理由を「別にツアーじゃなくてもいいんじゃないかと。名古屋で4日間やって終わりでもいいんじゃないかと思いまして」と説明。体調の問題を抱える中、長く「現役歌手」を続けるための決断だった。
 熱く頑固だった若い頃と違い、人生の折り返し地点に来てから、幸せの定義を増やす一方、歌手であり続けることの定義を「新作」に絞った。本編ラストは今の心情を込めた「ガンバラナイけどいいでしょう」。
 単発のライブは今後もあり「これから1年に1都市のペースで80歳までやったら、最終的にそれは全国ツアーじゃないの?って言われたりするかもね」と苦笑い。終演後、会場内の新作CDの即売所は観客で大にぎわい。長野県から見に来た会社員の近藤俊也さん(47)は「スケールアップしていて凄くよかった。ツアーが最後なのは残念だけど、長く歌って燃え尽きないでほしいから、しようがないかな」と話した。

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2009年6月22日のニュース