滝田監督「釣りキチ」に世界からオファー殺到

[ 2009年2月27日 06:00 ]

成田空港に笑顔で凱旋した滝田洋二郎監督。オスカー像は千多枝夫人の持つキャスターバックの中に

 第81回米アカデミー賞外国語映画賞を受賞した「おくりびと」の滝田洋二郎監督(53)が26日、成田空港着の大韓航空機で帰国した。オスカー獲得を受けて、次回作「釣りキチ三平」(3月20日公開)にも世界30以上の国と地域から配給のオファーが殺到していることが判明。“世界のTAKITA”をあらためて証明した形だ。

 オスカーの“釣果”は、次回作の「釣りキチ」にも表れた。巨匠に対する注目度は日に日に増している。
 配給の東映によると、アカデミー賞授賞式前からすでに数カ国から海外配給の打診はあったが、外国語映画賞を受賞した23日以降、同社国際部にオファーの電話が殺到。矢口高雄氏(69)の原作漫画が出版されている韓国、台湾などのアジア圏をはじめ、アニメ版が放送されたイタリア、フランスなどの欧州各国が名乗りを上げた。さらに、過去に実写映画化を企画したこともあるハリウッドがある米国も加わり、この日までに計30カ国以上がラブコールを送った。東映は今後、各国の配給会社と交渉を重ねて世界配給に向けて乗り出す構えだ。
 「おくりびと」は26日現在、韓国、香港、米国など計38カ国での配給が決定。さらに50件以上のオファーを受けており、配給の松竹は最終的には100カ国での公開を目指しているが、東映も5月に南仏で開かれる第62回カンヌ国際映画祭のマーケットで「釣りキチ」をお披露目しプロモーションを展開。「おくりびと」と同等の世界配給を目標にしている。
 一方、国内の前売りはオスカー受賞前と比較して4倍の売れ行き。25日のマスコミ向けの試写は約60席がすべて埋まり、「公開に向けて各地で行われる試写会も通常の2倍の応募が来ている」(東映)という。
 この日、千多枝夫人を伴って凱旋した滝田監督は「(受賞の)実感はまだわかない」と話したものの、出迎えた約30人の報道陣を眺め徐々に手応えをつかんでいる様子。オスカー像を枕にした感想を聞かれ「まだ新しい映画の夢は見てませんが最高ですね。大きなものが釣れました」とユーモアたっぷりに話した。

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2009年2月27日のニュース