昭和初期の香り…美輪明宏が“美少年”発掘

[ 2008年12月22日 06:00 ]

舞台「毛皮のマリー」で共演する美輪明宏と吉村卓也

 美輪明宏(73)が見いだした美少年が俳優デビューする。美輪演出・美術・主演の舞台「毛皮のマリー」(来年4月1日から東京・ル テアトル銀座で)のオーディションで美少年・欣也役を射止めた新人・吉村卓也(18)がその人。昭和初期の好男子をほうふつさせるルックスで、美輪は「怪しげなものの中に咲く一輪のハスの花」と絶賛している。

 美輪は「野球の斎藤佑樹さん、テニスの錦織圭さん、ゴルフの石川遼さんのようなタイプの子が欲しいと思っていました。純粋で清らかで勇気があって凛(りん)としていて礼儀作法もきちんとしている…。吉村さんはぴったりでした」と明かす。
 故・寺山修司氏原作の「毛皮のマリー」の美少年・欣也役は、94、96年にいしだ壱成(34)、01年に及川光博(39)が演じた。8年ぶりの上演となる今回はオーディションで選ぶことになり、約800人の応募の中から書類選考で約400人に絞った上で審査を重ねた。
 「渋谷系、歌舞伎町系の子ばかりだった中、1人だけ手あかのついていない子がいました。まるで戦前の少年向け雑誌に出てくるような男の子。寺山夫人の九条今日子さんやプロデューサーも同席していて、全員一致で吉村さんに決めました」と美輪は説明する。
 吉村は高校3年の時に現在の所属事務所のオーディションを受けて芸能界入り。本格的に演技をするのはこの舞台が初めてだが「プレッシャーは全くありません。早くやりたい、楽しそうだという気持ちが強い」と力強く語る。「すごい世界観の作品だから、まずは美輪さんの世界観を学ぼうと著書を読んでいます。先日は本で紹介されていた東京都庭園美術館に足を運んでアール・デコ文化に触れてきました」と研究熱心だ。
 美輪も「どんな商売でも最後に物を言うのは人柄。芸能界で生き残れるかどうかは若さとプロダクションの力を引いて何が残るかです。吉村さんにはそれがあると思います」と期待している。

 ◆吉村 卓也(よしむら・たくや)1990年(平2)2月4日、広島県出身の18歳。高校時代、野球をやっていたが「いろいろな人と接触できて人間的に成長できると思った」と芸能界志望に。07年にアミューズ30周年オーディションで特別賞。卒業後に上京。尊敬する人は「両親」。1メートル66、52キロ。血液型B。

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