平成中村座 名古屋城踏みつぶす?

[ 2008年11月24日 06:00 ]

 江戸の歌舞伎小屋を現代によみがえらせた「平成中村座」が、来年9月に初の名古屋公演を行うことになった。主宰する歌舞伎俳優の中村勘三郎(53)が23日、東京・浅草での同公演後に明かした。また、歌舞伎座が改修工事に入る2010年4月以降、代替劇場として機能させる案も示した。

 00年11月に東京・浅草の隅田公園で産声を上げた「平成中村座」が、尾張の国に乗り込むことになった。この日、「法界坊(ほうかいぼう)」公演の3度のカーテンコールに応え楽屋に戻ってきた勘三郎は、息を切らしながら「来年9月に名古屋城でやるよ」と明かした。
 芝居小屋を仮設する具体的な場所は交渉中だが、お城が見える名城公園の一角にしたい意向だ。演目は古典ものと「法界坊」を予定。「法界坊」ではラストで舞台後方の壁が開き、実際の風景をセットの一部に取り込む演出。「名古屋城を見せたいけど大きすぎるかな。だったら、しゃちほこを付けたミニチュア作って、法界坊が踏みつぶしちゃおうか」と構想を膨らませた。
 さらに10年に大阪の住吉大社、11年に2度目の米ニューヨーク公演も計画中。勘三郎が“攻めの姿勢”でいるのは、平成中村座が連日、850席が完売状態を続けていることにある。15日からは当日券を求める観客のために、舞台上の上手に4席、下手に3席、「羅漢席」と呼ばれる客席を用意。「江戸の劇場には普通にあったんだからさ。雰囲気が出ていいでしょ」と楽しそうだ。
 平成中村座は、千秋楽の25日まで2カ月の公演中。仮設劇場だが歌舞伎座が改修工事中の12年には「浅草周辺に5、6カ月間建てておきたいね」と“代替劇場”にする案も披露。「この劇場があるから、歌舞伎座の改築も寂しくないよ」と笑顔だった。

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2008年11月24日のニュース