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K―1のエース武尊が涙の「休養」表明 「THE MATCH」那須川天心戦終え「前向きな意味で休養を」

[ 2022年6月27日 14:12 ]

会見する武尊
Photo By スポニチ

 今月19日に東京ドームで開催された格闘技イベント「THE MATCH2022」でRISE王者の那須川天心(23=TARGET/Cygames)に判定で敗れたK―1王者の武尊(30=SAGAMI―ONO KREST)が27日、東京都内のホテルで会見し、休養を表明した。

 会見で武尊は“世紀の一戦”を終えてからの心境を冷静に、丁寧に言葉で紡ぎ出した。「正直、試合に負けたときは悔しさもあったし、“これで終わりだな”という気持ちもあった」と率直な思いを吐露。「試合が終わってからの数日は僕の中ですごい、いろんな思いがぶつかりあって、毎日気持ちも変わるし、気持ちが落ちることもあった」が、そこから心境に変化が生じたのは、ファンや周囲の支えてくれる人たちの温かい声があったからだった。

 勝者はまぶしいばかりのスポットライトを浴び、敗者は暗い花道を静かに帰るイメージを持っていた。しかしその先入観は試合後に一変した。「応援してくれている人たち、信じてついてきてくださっている人たちに結果で返すことができなくて、申し訳ない気持ちでいっぱいだったけど、あそこ(花道)でファンの人たちに“ありがとう”とたくさんいただいて…。何か、それが本当に…その時のことを、本当に一生忘れないと思う」と振り返ると、目は潤み、涙声になった。

 「その時のことを本当に一生、忘れないと思うんですけど、あの時にもらったありがとうという言葉が、今までこの10年、勝ち続けてきたんですけど、その時のどんな“おめでとう”より、嬉しくて…」とかすれた声で絞り出す。当日だけではない、その後もSNSなど温かい励ましや感謝の言葉で、力強く前を向くことができた。「1回、心と体のコンディションを正常に戻して、そこからもう1回新しいチャレンジができたら…。1回、戦う舞台からは離れようと思うんですけど。たくさんの人たちがいて、前向きな意味で1回、休養をさせて頂こうと思っています」と決意を表明した。

 戦い続けてきたダメージは体に蓄積され、これまで公表してこなかったものも含め、まさに満身創痍(そうい)。心身ともにリフレッシュな状態に戻すことが目的の「積極的休養」を選択した。

 鳥取県米子市出身の武尊は2011年9月にプロデビュー。13年5月にKrush58キロ級王者となった。15年4月にK―1ワールドGPスーパーバンタム級王座を獲得すると、16年11月にフェザー級王座、18年3月にスーパーフェザー級王座を獲得し、史上初の3階級制覇を達成するなどエースとしてK―1をけん引してきた。

 那須川との“世紀の一戦”では1回にダウンを奪われ、0―5で判定負け。8年越しで実現した夢の舞台、集大成と位置付けた一戦で約10年ぶりの2敗目を喫した。試合前には、負けたら引退することを示唆する発言を繰り返していたが、試合から4日後の23日には自身のSNSで「たくさんの人が一緒に泣いてくれて生きる希望を貰いました」と、自分の想像とは違う反響に心境の変化があったことを明かし、「心と体を治してまた前を向いて進みます」と記していた。

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