【尚弥はSバンタム級転向すべき?課題は、識者に聞く】杉浦大介氏 パワーパンチの効果保てば無双に
WBA・WBC・IBF世界バンタム級王座統一戦12回戦 ○WBAスーパー&IBF王者・井上尚弥 TKO2回1分24秒 WBC王者ノニト・ドネア● ( 2022年6月7日 さいたまスーパーアリーナ )
井上尚弥が次戦でバンタム級(リミット53・5キロ)の4団体王座統一か、1階級上のスーパーバンタム級(同55・3キロ)へ挑戦する意向を明らかにした。(1)井上はすぐにでもスーパーバンタム級に転向すべきか、それともバンタム級がまだ適性階級か(2)世界のスーパーバンタム級の現状と、井上に期待される対戦相手は(3)井上がスーパーバンタム級で戦う課題は何か。米国でボクシング取材に長く携わり、井上もチェックし続けている識者5人の見解を聞いた。
【杉浦大介氏=ニューヨーク在住スポーツライター、スポニチ本紙通信員】
(1)トップレベルの実績に乏しいWBO王者ポール・バトラー(英国)に圧勝しても、レジュメが重視されるパウンド・フォー・パウンドなどでの特別な評価は得られないかもしれない。ただ、日本人初の4団体統一王者という肩書は長い目で見てやはり魅力。バトラー戦が比較的早い段階(年内?)に実現するのであれば、やはり世界的にも流行の“undisputed”の称号を取りにいくべきではないか。スーパーバンタム級も統一路線の最中だけに、すぐに階級を上げても好カードが組めるとは限らない。ここで4団体統一という分かりやすい勲章を手に入れておけば、今後の交渉材料にもなる。
(2)それぞれ2つのタイトルを持ったフルトン(WBC&WBO王者=米国)、アフマダリエフ(WBA&IBF王者=ウズベキスタン)は相応の実力者。PBC(フルトン)、マッチルーム(アフマダリエフ)というプロモーターの違いゆえにマッチメークは容易ではないが、ぜひとも年内にも4団体統一戦を組んで欲しいところ。マッチルームはアフマダリエフの売り出しに積極的には思えず、報酬も比較的安価とあって、PBCへのレンタルはあり得るのではないか。
ただ、スーパーバンタム級戦線のシミュレーションで楽しみなのは現状ではそこまで。同階級はいわゆる“トップヘビー”であり、この3人以外に将来的な井上との絡みを楽しみにしたくなるような選手は数少ない。フルトンと接戦を演じたフィゲロア(元WBA&WBCスーパーバンタム級王者=米国)はフェザー級転級が濃厚で、特に目立った若手も見当たらない。
確かなスキルと頑強さ、長距離走が得意というスタミナを備えたフルトンは、井上にとってやっかいな相手になる可能性を秘めている。もちろんモンスターがこれまでどおりに序盤から圧倒しても不思議はないが、その強打が致命傷にならず、体格で勝るフルトンが馬力を生かすような展開になった場合、後半戦はスリリングになるかもしれない。それでも攻防の幅広さで上回る井上の勝利は有望だが、消耗も避けられない戦いになっても不思議はない。
年内に井上がバトラー、フルトンがアフマダリエフを下せば、両者がともに4団体統一王者として来春以降に激突という夢のシナリオが見えてくる。プロモーター、テレビ局の違いを考慮すればほとんどファンタジーに思えるかもしれないが、実現は不可能ではないはずだ。軽量級史上に残るであろうこんな試合が組めれば、得られるものも大きくなる。
(3)井上は欠点の見当たらないオールラウンドな選手ではあるが、中でも相手の戦力を一瞬で損わせ、常に警戒を促すその爆発的なパワーが大きなアドバンテージになっているのはまぎれもない事実だ。上の階級でもパワーパンチの効果を現在と同様か、それに近いレベルに保てれば、無双は続く可能性は高い。昇級してもパンチの効き目を保つことは難しいと思うかもしれないが、スーパーミドル級に上げて以降のカネロなど、厳しい体重調整から解放されることがプラスに働くケースは見受けられる。
2022年6月8日のニュース
-
京口紘人 世界王者も言葉を失った井上尚弥の衝撃TKO勝利「PFPは確実に2位以上に浮上する」
[ 2022年6月8日 19:27 ] 格闘技
-
井上尚弥「めでたい日に胸糞悪い話」 3団体統一戦の裏で自宅が空き巣被害
[ 2022年6月8日 18:33 ] 格闘技
-
WBC王者の拳四朗「勝ってくれないと統一戦できない」団体内統一戦に臨むWBAスーパー王者・京口を応援
[ 2022年6月8日 18:29 ] 格闘技
-
武尊、天心戦の地上波放送消滅も「最高の試合をすることに変わりはない」 “世紀の一戦”へ勝利誓う
[ 2022年6月8日 18:18 ] 格闘技
-
3団体統一の伝説の一戦の裏で… 井上尚弥の自宅に空き巣 カバンや貴金属など盗まれる被害
[ 2022年6月8日 18:15 ] 格闘技
-
尚弥vsドネア 視聴数アマプラ史上1位「今後も語り継がれる素晴らしい試合」
[ 2022年6月8日 18:00 ] 格闘技
-
井上尚弥、ドネア瞬殺3団体統一から一夜 布袋の生演奏に感謝「過去一のテンション爆上がりでした」
[ 2022年6月8日 09:23 ] 格闘技
-
3団体統一の尚弥「今は練習がしたい」に報道陣ビックリ 視聴数は歴代トップをマーク 一夜明け会見
[ 2022年6月8日 07:37 ] 格闘技
-
パンチデータが物語る尚弥の猛攻 トータル的中率49%、パワーパンチは67・2%
[ 2022年6月8日 06:05 ] 格闘技
-
【尚弥はSバンタム級転向すべき?課題は、識者に聞く】ダン・レイフィール氏 ビッグマッチにできるか
[ 2022年6月8日 05:45 ] 格闘技
-
【尚弥はSバンタム級転向すべき?課題は、識者に聞く】ヘルナンデス氏 パワーをキープできるかが重要
[ 2022年6月8日 05:45 ] 格闘技
-
【尚弥はSバンタム級転向すべき?課題は、識者に聞く】ビレガス氏 選択肢としては微妙になる昇級
[ 2022年6月8日 05:45 ] 格闘技
-
【尚弥はSバンタム級転向すべき?課題は、識者に聞く】フラーエンハイム氏 攻撃耐えられる防御が鍵に
[ 2022年6月8日 05:45 ] 格闘技
-
【尚弥はSバンタム級転向すべき?課題は、識者に聞く】杉浦大介氏 パワーパンチの効果保てば無双に
[ 2022年6月8日 05:45 ] 格闘技
-
尚弥 これぞMONSTER!日本人初の3団体統一、ドネアを2回TKO返り討ち バンタム級に敵なし!
[ 2022年6月8日 05:30 ] 格闘技
-
浜田剛史氏 明暗分けた立ち上がり 尚弥の“スリリングな圧勝”ドネア沈めた冷静なカウンター
[ 2022年6月8日 05:30 ] 格闘技
-
尚弥圧勝データ 2回1分24秒決着は自身5番目の早さ、日本歴代最多更新の世界戦18連勝
[ 2022年6月8日 05:30 ] 格闘技
-
寺地拳四朗観戦記 実は「怖いな」と思っていた再戦なのに…井上選手はやっぱり強い
[ 2022年6月8日 05:30 ] 格闘技
-
大橋会長苦笑い 想像以上の尚弥圧勝で「我忘れてリングに」、4団体統一戦にも前向き
[ 2022年6月8日 05:30 ] 格闘技
-
WBO王者バトラー 4団体統一戦に前向き「ぜひ日本でやりたい」、プロモート会社も約束
[ 2022年6月8日 05:30 ] 格闘技
-
ドネア夢散…左フックで見せ場一瞬 尚弥祝福「アリガトウ」も試合後会見キャンセル
[ 2022年6月8日 05:30 ] 格闘技
-
拓真 3―0判定完勝、ほぼフルマーク 尚弥と兄弟同時世界王者へ「一発で獲る」
[ 2022年6月8日 05:30 ] 格闘技
-
平岡 6回TKO勝ち、20戦無敗で防衛 先見据える「世界チャンピオンになりたい」
[ 2022年6月8日 05:30 ] 格闘技