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ドネア夢散…左フックで見せ場一瞬 尚弥祝福「アリガトウ」も試合後会見キャンセル

[ 2022年6月8日 05:30 ]

WBA・WBC・IBF世界バンタム級王座統一戦12回戦   ●WBC王者ノニト・ドネア TKO2回1分24秒 WBAスーパー&IBF王者・井上尚弥○ ( 2022年6月7日    さいたまスーパーアリーナ )

3団体統一に成功した井上(右)を称えるドネア(撮影・長久保 豊)
Photo By スポニチ

 世界5階級制覇など輝かしい栄光を持つ男には非情な現実が待っていた。傷ひとつない晴れやかな表情で笑顔を振りまく井上とは対照的に、失意のドネアはコーナーでぼうぜんとしていた。

 井上が寄ってくると、抱き合って「アリガトウ、コングラチュレーション」と祝福した。花道で総立ちの観衆の「ドネアコール」に見送られたドネアの目は潤んでいた。

 判定で敗れた前回の対戦から2年7カ月ぶりに訪れたリベンジの舞台。開始早々に見舞った左フック。自身の代名詞を真っ先に繰り出す意地を見せたが、それが最大の見せ場となった。1回終了間際に井上の右ストレートで尻もちをついてダウン。2回も井上の連打に動きが止まり、左フックでトドメを刺された。試合中に負ったダメージが大きく試合後の会見はキャンセル。関係者を通じて「彼はとても強く勝利に値する選手。オメデトウと伝えたい」とコメントした。

 並々ならぬ思いでこの一戦に懸けていた。「今までのキャリアの中で一番大きな試合になる」。19年11月の井上戦は判定で敗れたものの、眠っていた闘志を再点火させ再起戦でWBC王座を奪取。昨年12月の初防衛戦も完勝した。来日前には米国ラスベガスで140ラウンドに及ぶスパーを消化。最高の状態で臨んだが、わずか2回で夢散。進化するモンスターの引き立て役に終わってしまった。

 ▽井上―ドネアVTR 井上が圧巻の戦いぶりで一方的に制した。静かな立ち上がりだった1回は終了間際にカウンターの右ストレートでダウンを奪った。2回は一気に攻勢をかけ、左フックでぐらつかせると、最後はコンビネーションで追い詰めてから左フックで仕留めた。ドネアは距離を取って戦おうとしたが、強烈なパンチを浴びて防戦に回り力尽きた。

 ◇ノニト・ドネア 1982年11月16日生まれ、フィリピン・ボホール島出身の39歳。01年2月、プロデビュー。07年7月にIBFフライ級王座に就き、スーパーフライ級、バンタム級、スーパーバンタム級でもタイトル獲得。14年5月にフェザー級王者となり、世界5階級制覇。21年5月、WBC世界バンタム級王座獲得。身長1メートル70、リーチ1メートル74。右ボクサーファイター。

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2022年6月8日のニュース