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【井岡一翔に聞く】田中恒成と試合後に交わした言葉とは…リングで伝えた「拳の重み」

[ 2020年12月31日 20:28 ]

<WBOスーパーフライ級井岡一翔×田中恒成>田中(左)と健闘を称え合う井岡(撮影・島崎忠彦)
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 プロボクシングWBO世界スーパーフライ級タイトルマッチ12回戦は31日、東京・大田区総合体育館で行われ、王者・井岡一翔(31=Ambition)が挑戦者で同級1位・田中恒成(25=畑中)に8回TKO勝ちし、田中の世界最速プロ16戦目での4階級制覇を阻止した。田中はプロ初黒星。井岡は第5ラウンド終了間際に左フックでダウンを奪い、第6ラウンドにも左フックで2度目のダウンを奪い、8回にも左フックが入ったところで、レフリーが間に入った。

 試合後のオンライン会見で思いを語った。主な一問一答は以下の通り。

 ──試合を終えての感想は。
 「有言実行できて良かったと思います」

 ──いろんなプラン、戦い方はあったと思うが、どういう感じ方、リング上での動きをしたか。
 「ボクシングの幅であったり、組み立てだったり、自分がどういう展開になっても、すべて上回っているという自信を持って臨んだので。あとは気持ちの中で常に余裕を持って戦おうと思っていました」

 ──左目の腫れは。
 「2ラウンドの右ストレートの終わり際の時に、思ったより、田中選手の右ストレートが伸びてきたので。予想外というか、しっかりもらってしまったので、そのパンチでちょっと目が見えづらくなってしまった」

 ──2021年に見据えるもの。
 「前回と今回と指名試合、1位の選手に勝ったので、統一戦、3月に(WBC世界スーパーフライ級王者の)エストラーダと(WBA世界スーパーフライ級王者の)ゴンサレスの統一戦があるので、その勝者とできる方向でいけたらいい」

 ──何が自分の中で体現できたか。
 「余裕を持って戦えました。その中、緊張感という中で、2ラウンドにいいパンチをもらったことは予想外でしたけど、気持ちが折れたわけでもなく、この状況でも戦うしかないという気持ちだった」

 ──どのあたりで田中選手のパンチを見切れたか。
 「最初から、結構余裕を持って、自分の距離とポジションで。相手に合わさずにできた。ラウンドを増すごとにはまっていっているなという気はしました」

 ──オープニングでワンツーをもらった。
 「ミスりました。あそこで左フックを狙っては駄目。あのタイミングでフック出したらストレートをもらうとわかっていたけど、駆け引きで間違えました」

 ──左フック3発。イメージはあったか。
 「全然してなかった。タイミングと一つのパターンの中。左フックを徹底して狙ったわけではない」

 ──1度ダウンを奪った後の戦い方。
 「判定でも勝っていると思ったので、このまま余裕を持って戦おうと思っていた」

 ──試合前に強気なコメントをしていたが。自分への重圧は。
 「もちろん常にプレッシャーはあるし、今までも変わらない。絶対勝つ、負けないという気持ちでやっているが、結果、負けても勝っても、自分のプレーに全力で取り組んで、それでもし負けてしまったら、納得できる負けだと思う。僕は自分のプレーに集中して全力を出し切るという気持ちだけだった。

 ──強い言葉を発してきた真意。
 「僕が日本人初の4階級制覇のチャンピオンとして、ここで彼を、4階級制覇させてはいけないと思っていたし、やる限りは若い選手に負けずにトップで君臨し続けるという気持ちもある。格が違う、レベルが違うと言っていたことは本音。言うだけなのは簡単なんで、あとは言ったなら実行するのみ。実行できて良かった」

 ──試合後の田中選手との会話は。
 「田中君が『完敗ですと。全然歯が立たなかったです』というニュアンスの言葉を言ってきてくれた。僕はあと何年かという終わりに近づいてきていると思うが、彼はまだ25歳。まだまだこれからの選手。彼も日本ボクシング界を引っ張っていってくれる選手の一人だと思うので『これからまた頑張ってくれ』と伝えました」

 ──田中選手にリング上で拳で伝えられたものは。
 「拳の重みじゃないですかね。背負っているものであったり、勢いだけでは勝てないという経験は、僕の方が年重ねている分、拳の重みが違かったのではと思う」

 ──今後、描いているものは。
 「もしかしたらきょう負けていたら、引退していたかもしれないし…。自分で終わりたくなくても、“井岡は終わった”と思われる日が来ると思う。なるべく自分の中で納得する形で、やり切る形でやりたい。今年9度目の大みそかでまた勝ったことで、節目の10回目頑張ってみようと。その中の次は統一戦をしたいですね」

 ──ご家族とは会ったか。
 「リングに入場した時に、久しぶりの家族の顔を見て泣きそうになった」

 ――夫人から言葉は。
 「終わってさっき会って、カッコ良かった、強かったって。妻も凄いプレッシャーの中で一緒に戦ってもらっていると思っているので、ホッとしたと言ってましたね」

 ――麿永翔(まなと)君は。
 「いやー。久しぶりに会って。息子は全部、パパのことは“ママ”って言うんですけど、言ってるイントネーションでパパとママの呼び方が僕は分かるんですけど、リングに上がった時に“ママーッ”て言ってて、僕のことをパパって言いたいんだろうなって。それが聞こえた時は、試合前からいろんな感情が込み上げてきましたね」

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