岩佐亮佑 タパレス沈めたストレート「唯一手応えあった1発」
ボクシングのIBF世界スーパーバンタム級暫定王座決定戦12回戦は7日、米ニューヨークのバークレイズセンターで行われ、同級1位の岩佐亮佑(29=セレス)が同級3位マーロン・タパレス(27=フィリピン)に11回TKO勝ち。暫定王座ながら昨年8月以来となる世界王座復帰を果たした。
試合後の岩佐との一問一答は以下のとおり。
――見事なKO勝ちだった。
「やっぱりタパレスはうまかったですよ。パンチが当たらなくて、なかなかリズムが取れなかったんですけど、その中でもトレーニングしてきた自信があったんで、とにかく前に前にいけて、そこの隙を最後つけたのが良かったです」
――KOパンチは手応えがあったのか。
「唯一、あれが手応えありました。1発、あれだけです。手応えあったのが」
――右ジャブに左を合わせるのは事前からの想定通りか、それとも流れの中で出たのか。
「流れでしたね。あれを狙いすぎて僕は一回、リー・ハスキンスにあれにカウンターを合わせられたんです。それの怖さがあったんで、なかなか前半はいけなかったところがあった。タパレスが完全に打ち終わりにカウンターを狙っていたのが分かったんで、なかなか行きづらかったですけどね。でもやっぱり相手が疲れてきて、鈍くなってきたのは分かっていたんで、そこで自然と出たパンチですかね」
――一度やられた経験が今回は生きた。
「なんか怖さもあったんだけど、行きすぎず、行かなすぎず、冷静に相手の隙を、時間をかけて引き出せた感じがありました」
――1ラウンドはちょっと難しかったように見えたが、焦りは。
「前半は捨てるというか、集中集中で、絶対前半は(相手のパンチが)大きいし、目が慣れるまではあんまり行かないでおこう、というのは会長と決めていたんです。それもあって、結構冷静に攻められたかな。ちょっと手数が少なかったですけど、それは駆け引きで出さなかったんです。想定内だったです」
――4回くらいから強打が当たり始めたが、主導権を握れたと感じたのはいつ頃か。
「やっぱり3、4回くらいから、相手もやりづらいんだなっていうのが分かってきた。向こうのリズムとかパンチとかも見えてきたんで、これだったらと。相手のパンチも何発かもらって、これだったら耐えられるなって思ったんで、徐々に安心できたというか、そういう感じですね」
――パワーに定評ある選手だが、実際はそれほどでもなかったのか。
「パワー感じなかったですよ。ああ、こんなもんかという感じでしたね」
――タパレスの何を一番警戒していたのか。
「(左の)オーバーハンド。オーバーハンドは絶対伸びてくるし、普通じゃない角度だと思っていたんで、フックの返しとかもそうだし、それはちょっと意識していましたね。あとはアッパーですよね。オーバーハンドがくるから、こう中へ中へ中へ(体重を)かけていると、あいつはアッパーを打ってくるんで、それは映像で見てて、意識して、だからちょっと入りづらいところがあったんですけど、だから大丈夫でしたね。クリーンヒットなかったです」
――ボディー打ちが効いていると感じたか。
「うーん、ボディーはあまり入っている感覚がなかったです。(タパレスの体勢が)低くて、低すぎて手打ちになっていたから、これじゃ効かねえだろうなとも思っていた。まあ、こつこつやるしかないなという感じでしたね」
――昨年8月の敗戦後、8割は引退しようと考えたという話だったが、続ける決断をしたことを今どう感じるか。
「今、こう勝者として立っている。本当に続けておいて良かったし、続けさせてもらったこと、周りに支えてもらえたことに感謝ですね。その人たちがいたから続けられたし、この場があるのはその人たちのおかげだと思います。本当に続けて良かったし、今日勝って、まだ続けられるって思います」
――目標の場だったニューヨークのリングで見事なKO勝ち。
「自分の100%を出せたかどうかは別にして、このリングで白黒をはっきりさせて、倒せて勝てたというのは、ボクシング人生の中でも一番嬉しかったですね。それぐらい嬉しかったです」
――サウスポー対策としてやってきたことはどれくらい生かせたのか。
「予想以上に相手もうまかったし、強かったですけど、練習してきたことはまあある程度、8割くらい出せたのかな、5割、6割くらいかな。もっともっとできると自分では思っているんですけど、6割くらい出せたと思います。それで勝てたってことは、僕はサウスポー苦手じゃないと(笑い)。もう文句ないでしょ、文句ないですよね(笑い)。克服です」
――先ほどの左ストレートの話、サウスポーの話も含め、これまでやってきたことがすべて生きた。
「やはりリング上でハスキンスに負けた時とかのやつが(頭を)よぎりますよね。あの経験があったから、行きすぎずっていうのもあったし、ドヘニー戦の経験があったから、行かなすぎず。プレスかけながら行かなきゃっていうのをバランス良くできたのかなと。本当に経験ですね。負けたから今日勝ったんだと思う」
――1度目の世界タイトル獲得と2度目は意味が違うか。
「1度目の世界タイトルはとにかくチャンピオンになれたことにホッとしたんですけど、2度目のこのニューヨークのリングで、本当に嬉しかったですね。心の底から嬉しかったし、やってやったぞっていうのがありました。感無量です」
――当日計量でタパレスがオーバーしたという報道があったが。
「当日計量で700グラムくらいオーバーして、再計量ですぐ落としてきました。失格ではないです。オーバーして2時間後に再計量するといって、30~40分後くらいに来て、全然大丈夫だったんです」
――今後はやはり(正規王者の)ローマン戦が目標か。
「ダニエル・ローマンですよ。はい、(ローマンは次の試合を)1月下旬にやりますよね。それも見に行くつもりですし、あいつが標的です。あいつしか見えていない」
――そのローマンへの思い入れはどこから来ているのか。
「ただあいつがチャンピオンだったんで、それを追っかけていただけです。挑戦者決定戦も、あいつに挑戦するためにやった。今回はたまたまこういう形になっちゃったんですけど、今度は(お互い)チャンピオンとして統一戦になるじゃないですか。挑戦者になるより統一戦の方が、チャンピオン同士の方が良かったですよね。米国開催になると思うし、自分の立場もあるし。ただ、まだ暫定なんで、統一して本当に正規チャンピオンになりたいと思います」
――米国でこういう勝ち方をすれば、また声がかかるのでは。
「いやー、もう呼んでください!(笑い)もうちょっとインパクトあるような試合をして、それこそローマンとやって、いいもの見せたいですよ」
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