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雅雪「失望」判定0―3王座陥落…夢の統一戦遠のく

[ 2019年5月27日 05:30 ]

WBO世界スーパーフェザー級タイトルマッチ12回戦   ●王者・伊藤雅雪 判定0-3 同級9位ジャメル・ヘリング〇 ( 2019年5月25日    米フロリダ州キシミー )

試合後に伊藤(右)はヘリングと健闘を称え合う(撮影・田中哲也通信員)
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 伊藤雅雪はジャメル・ヘリング(米国)に0―3の判定で敗れて2度目の防衛に失敗、王座から陥落した。米大手プロモーター、トップランク社と契約しての初戦。勝てば、他団体王者との統一戦など、熱望していたビッグマッチが実現する可能性もあったが、夢は遠のいた。

 世界王座を獲得した思い出の地キシミーで、伊藤が散った。持ち味をほとんど発揮できないまま、判定0―3の完敗。「凄く失望している。期待してくれていた人たちを裏切る形になって申し訳ないです」と唇をかんだ。

 長身サウスポー対策は十分なはずだった。ただ、「もっとファイトしてくるだろう」という一方的な思い込みが歯車を狂わせた。距離を詰めようとしても、ロンドン五輪米国代表で経験豊富なヘリングのテクニックと長いリーチに阻まれ、攻撃が単発に終わった。「勝ったとは思わなかったけど、負けた気もしない」と振り返ったが、挑戦者に握られたペースを引き戻すことはできず、ジャッジ3者の採点は4~8点の大差がついた。

 メモリアルデー(戦没将兵追悼記念日)の週末に元海兵隊員との対戦。しかも、当日はヘリングの亡くなった娘の10歳の誕生日だった。相手のために描かれたような“シナリオ”にのみ込まれ「今夜はヘリングの日だったのかなと。自分の中で改善の余地は凄くあったとは思うんですけど」と振り返った。

 勝っていれば、WBC世界同級王者ベルチェルトとの統一戦が有力視されていたが、痛恨の敗戦。王者であり続ける以上に大きな意義を感じていたビッグマッチのチャンスも逃した。ルディ・エルナンデス・トレーナーからはライト級への転級を勧められたが、「簡単に、また頑張りますとは言えない」と今後については明言を避けた。昨年7月に米国でつかんだ夢。その続きを見失ってしまった。

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