【潜入】パナソニック・柿本晟弥 切れ&制球力&6球種を完備 常に「べっちょない」投球身上の右腕

[ 2026年5月20日 05:30 ]

ボールを手にポーズを決めるパナソニック・柿本晟弥
Photo By スポニチ

 記事と動画を連動させてアマチュア野球の有力選手をリサーチする「スポニチ調査ファイル」。第3回は全国大会での実績こそ目立たなくても、NPBスカウトから高評価を得ている好投手を調べに向かった。社会人は、パナソニックに入社するまで全国とは無縁だった最速151キロ右腕・柿本晟弥投手(24)。今秋ドラフト候補として注目を集める理由を、調査した。

 パナソニック・柿本は、誰よりも自分自身を把握している。「力で抑える投手ではないので。150キロを超える投手はいくらでもいるので、切れとコントロールと変化球で抑えていくことを意識しています」。力に頼ることなく、それ以外の要素を結集して打者を抑えにいく。その理想は「勝てる投手」だ。

 習得に力を入れた変化球は、今ではスライダー、カットボール、カーブ、フォーク、ツーシームの5球種を数える。スライダーは中学時代から憧れているダルビッシュ有(パドレス)をコピー。さらにカットボールとフォークは東洋大同期・岩崎(ソフトバンク)、一條(ロッテ)の助言を生かしつつ、磨きをかけた。「いろいろな変化球を使って、打者を抑えにいけるところが一番、持ち味」と自負する。

 さらに、6つ目の球種も備える。自ら「あまり自信がない」と言う最速151キロ直球も一級品だ。4月下旬の京都大会・王子戦では先発して5回1/3を投げて5安打3失点、8奪三振。その試合で直球は平均球速146~147キロをマークした。これは中継ぎだった大学時代に並ぶ数値という。投球回転数も「平均2300くらいで良かったら2500くらい」。NPB投手の平均値を軽く上回る球質を誇る。

 一方で、自分自身でも理解不能な部分がある。ベンチプレスは自身の体重を超える最高95キロを上げるが、それ以外は「ウエートトレーニングでも(全体的に)あまり重いのは持ち上げられない」。ジャンプ力、メディシンボール投げでも突出した数値を出したことはなく、大学時代に筋肉の部位と球速の相関関係について調べていたチームメートから「なんでそのフィジカル力で150キロ投げられるのか分からない」と言われたことまである。「体も硬いです」と柔軟性に優れているわけでもない。逆に捉えれば、そのすべてが“伸びしろ”だ。

 実は、大学3年までは、プロ志向が強いわけではなかった。それが大学4年を迎える直前の監督との面談で、「おまえはプロを目指せるから、目指せ」と言われ一躍、奮起。同年秋にプロ志望届を提出したものの、指名漏れとなった。それでも気落ちすることなく、社会人の名門で心機一転を図った。

 パナソニックでは1年目から先発陣の一角として台頭。アマチュア最高峰のステージでは「打者が簡単に三振してくれない。投げていて、凄く頭を使わないといけない」とレベルの高さを痛感するとともに、「自分は力で抑える投手ではないので、そうなると頭を使って技で…ということになる。だから、そこは追求しています」と頭脳的ピッチングの引き出しも増えた。一回り大きくなり、社会人屈指の実力派右腕として、ドラフト解禁年を迎えた。

 12球団がマークする逸材。昨年12月、パナソニックホールディングスは構造改革の一環として野球部の26年シーズン限りでの休部を発表しており、「進路はプロ一本で考えています」と不退転の決意で高みを見据える。そのために「自分があまり良くなくても、試合で勝たせることができる投手を目指しているので、そういうところを見せていきたい」と前を向く。

 座右の銘は“問題ない”を意味し、東洋大姫路高時代のチームメートが連呼していたという播州弁の「べっちょない」。マウンド上で、常に有言実行の投球を目指す。(惟任 貴信)

 ◇柿本 晟弥(かきもと・せいや)2002年(平14)5月9日、兵庫県出身。小学2年から「赤穂スポーツ少年団」で野球を始める。赤穂中では「龍野ボーイズ」に所属し、投手兼内野手。東洋大姫路(兵庫)では2年秋からエース。東洋大では1年秋からベンチ入り。パナソニックでは入社1年目から先発の一角を占める。50メートル走6秒5、遠投110メートル。1メートル83、80キロ。右投げ右打ち。

 動画編はYouTube「スポニチドラフトチャンネル」にて公開。

この記事のフォト

「大谷翔平」特集記事

「始球式」特集記事

野球の2026年5月20日のニュース

広告なしで読む