【内田雅也の追球】機運呼んだ二盗~三進

[ 2026年3月29日 08:00 ]

セ・リーグ   阪神2―0巨人 ( 2026年3月28日    東京ドーム )

初回、二盗を決める中野(野手・増田陸)。悪送球となり三進する
Photo By スポニチ

 阪神勝利への機運をもたらしたのは初回、中野拓夢の二盗、それから三進である。

 ナイターでの開幕戦に敗れ、一夜明けてのデーゲームだった。前夜の沈滞ムードを断ち切る効果があった。そして先発・高橋遥人を勇気づける先取点につながった。

 中野は1回表1死から右前打で出た。続く森下翔太の打席。スタートを切ると予感していた。

 巨人先発の右腕スペンサー・ハワードは楽天にいた昨年6月13日に対戦していた。クイック投法が苦手なことはある程度わかっていた。この日、走者一塁でも左足を上げて投げていた。

 盗塁の成否を分けるタイムはだいたい1秒20だと言われている。手もとのストップウオッチで計った森下の打席の投球タイムと結果を順に書きだしてみる。

 ▼初球。高め直球(ボール)1秒26。

 ▼2球目。外角直球(ファウル)1秒23。

 ▼3球目。内角低め直球(ボール)1秒25。

 ▼4球目。ナックルカーブ(見逃し)1秒43。

 ▼5球目。ここで中野は走った。投球は外角低め直球(ボール)でタイムは1秒30だった。

 二塁は十分間に合ってセーフ。しかも捕手の送球はバウンドして中堅へと抜けた(悪送球)。すぐ立ち上がった中野は三塁を陥れたのだった。

 「中野はよく走りましたよ」と一塁コーチボックスに立つ外野守備兼走塁チーフコーチの筒井壮が言う。「ハワードはいろいろ工夫して投げていましたから」。投球タイムだけでなく、間合いやテンポを変え、スタートを切りづらくしていた。

 「盗塁だけじゃありません。相手のミス(悪送球)で三塁まで行ったのが大きいんです。何でもないプレーに見えますが、(滑り込んだ後)すぐに立ち上がって判断しないと三塁は奪えません」

 なるほど、二盗に加え三進も殊勲だったわけだ。1死一塁が1死三塁となり、外飛(犠飛)でもOKと局面が変わった。森下の気持ちも「ムーさん(中野)がチャンスメークしてくれたので」と変化が表れた。

 ▼6球目。フルカウントからの決め球チェンジアップをすくい上げるように左中間に上げ、先制犠飛につながった。

 「いやあ、しびれましたけど、これがタイガースの野球ですよ。こうやって接戦をものにしていくんです」。筒井は今季初勝利に手応えを感じていた。 =敬称略=
 (編集委員)

続きを表示

「阪神」特集記事

「大谷翔平」特集記事

野球の2026年3月29日のニュース