【阪神ニューフェース紹介 伏見寅威(上)】見抜いたOB会長の車 プライベートでも「観察眼」発揮

[ 2026年1月10日 05:15 ]

東海大四時代は抜群のリーダーシップを示した伏見
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 昨年11月に日本ハムから阪神へトレード移籍した伏見寅威捕手(35)に、恩師や同僚らがエールを送る「虎の正妻にトライ!」(上下2回連載)の第1回は、東海大四(現・東海大札幌)時代の恩師、大脇英徳前監督(50)。教え子の観察眼の鋭さを証言し「甲子園で暴れろ!」と背中を押した。

 伏見の確かな「観察眼」を証明する出来事を、大脇氏は昨日のことのように回想した。

 愛弟子が卒業を控え、東海大へ旅立とうしていた08年冬のある日のこと。東海大四高がある札幌市から車で30分以上離れた伏見の故郷・江別市へ、当時の野球部OB会長が車で向かった。喫茶店でコーヒーカップを傾けていると、突然ドアの鈴が鳴る。視線を向けると、伏見が笑って立っている。なぜここに…?目を丸くしながら理由を聞くと、偶然、近隣をランニング中に会長のマイカーを発見し、ナンバーと外から車内を“物色”した結果で「間違いない」と判断した――という。

 「(OB会長が)めったに行かない江別市ですよ。普通は気づかないでしょう。通学路などで、われわれ指導者の車を見つけるのもプロ級。常に周りを見ている。ずっと目を光らせているんでしょうね」

 プライベートで、この視野の広さ。野球は言うに及ばずだろう。入学当初からリーダーシップは折り紙付きで、2年生から主将を任された。大脇氏は「もう一人、上級生にも主将を置きましたが、寅威も同じ立ち位置にした。人間的にも中心でした」と振り返る。

 技術的な部分でも、東海大時代に原貢氏(=原辰徳前巨人監督の父)の薫陶を受けた“捕手・大脇英徳”が徹底指導した。スポンジのような吸収力を持つ伏見へ、ブロッキングやステップ、キャッチング技術を細かく叩き込んだ。「自分が要求した球なら、ワイルドピッチなんていう記録はない、と話した。(後ろにそらしたら)全部捕手のせい」。投手陣や仲間の心をわしづかみにするパーソナリティーは、大脇氏の存在なくして語れない。

 一昨年7月末の監督勇退を記念し、大脇氏は伏見から記念品を贈られた。同校OBの伏見、日本ハム・今川、阪神・門別らの名に加え、大脇氏のモットーでもある「夢見ること それが生きる力」と刺しゅうされた黄金のミットだ。ケースに収められた宝物を、今は大切に自宅に飾る。

 「本当にありがたかった。東海大OBと言えば、まずは上田二朗さん(元阪神)の名が浮かぶ。上田さんのように、長く日本球界で尊敬されるような選手でいてほしい。甲子園で暴れてほしいです」

 「十五の春」に出会い、まもなく20年がたつ。誰からも愛される扇の要の、新たな門出を心から祝福した。 (八木 勇磨)

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