天理・赤埴幸輝が高卒プロ見送り、大阪ガス入社の真相「1軍で出場するには…」影響与えた楽天新人とは

[ 2026年1月4日 06:00 ]

大阪ガス入社が内定している天理・赤埴(撮影・河合 洋介)
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 連載「高卒プロを見送った注目球児」の最終回は、天理(奈良)で世代を代表する遊撃手に成長した赤埴幸輝内野手(3年)の決断に迫る。走攻守三拍子そろう大型遊撃手で、プロ志望届を提出すればドラフトでの支配下指名が有力とみられていた。それでも高校野球を終えて選んだ次の進路は、名門・大阪ガスへの入社だった。社会人野球で3年後のNPB入りを目指す理由を聞く。(河合 洋介)

 高卒プロを思い描いていた赤埴の進路に、影響を与えた黄金ルーキーがいる。昨季NPBで遊撃部門のベストナインを受賞した楽天の宗山塁だ。

 「1軍で使ってもらうには、あのレベルにいないといけないと気付きました」

 進路の決断が迫られていた3年春、24年ドラフトで5球団競合した宗山は開幕から即戦力として活躍する一方、高卒選手は軒並み2軍での出場機会すら限られていた。「僕は1軍で出場するためにプロに行きたい」。高卒プロなら数年後の1軍デビューで構わない――とは考えなかった。自身が即戦力として評価されていない以上、夢だった高卒プロは見送るべきだと3年春の選抜大会後に決断した。

 社会人野球に以前から興味があったわけではない。転機は、同校OBで天理大出身の下林源太が大阪ガスに入社すると知ったことだった。「社会人野球に進むとは全く思い描いていなかった。だけど源太さんがいるチームなら、色々と教えてもらえそうだなと思いました」。2学年上で大商大で活躍する兄の克樹には「お前の力があれば、大学に行かなくても社会人で通用すると思う」と背中を押された。そして、最終学年を迎える前に提出した進路希望調査書の第1希望の欄に「大阪ガス」と記入。大学進学を選択肢から消し、社会人企業への就職に傾いていった。

 進路を社会人野球に絞りながら、「社会人選手がどんな仕事をし、どのような大会があるのかもよく分かっていなかった」と苦笑いする。昨年から社会人企業の練習に参加するようになり、都市対抗は東京ドームで現地観戦した。「レベルの高さに衝撃を受けた。ここでレギュラーを獲れれば、プロにも近づくと思った」。プロ注目選手と言えども、高卒新人が社会人野球で出場するのは容易ではない。それでも芽生えた感情は、不安よりもアマチュア球界最高峰の舞台で勝負できる喜びだった。

 昨秋ドラフトで高校生遊撃手の支配下指名は3人のみで、最高順位は日本ハム4位の日大藤沢・半田南十だった。高校生野手に待っていた厳しい現実を見て、自身の現在地も見えてきた。

 「もし自分がプロ志望届を出していたら指名されたのかな…と考えたりするけど、現実的に高卒1年目で試合に出られる可能性があるのは石垣元気(健大高崎)くらいなのかなと思う。高校生なら1位で競合するぐらいの実力がないと出られないのがプロだと思うので」

 好選手そろう名門企業で高卒1年目から定位置を確保できれば、ドラフト解禁年でのNPB入りに大きく前進するだろう。「今回の進路は、プロの1軍で試合に出たいという気持ちが前面に出た選択。社会人1年目から試合で出る覚悟で臨みます」。大学進学ですらなかった進路選択。それは、赤埴なりに導き出した「NPBの1軍」への近道だった。=終わり=

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