阪神の安芸秋季キャンプで感心した育成選手の個性 グラウンド外でもナイスガイだった

[ 2025年11月17日 10:10 ]

秋季キャンプの走塁練習でスライディングする阪神・福島圭音
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 阪神の高知・安芸秋季キャンプは、17日に打ち上げの日を迎えた。10月30日の日本シリーズ第5戦(甲子園)で敗れ、ソフトバンクに覇権を譲った翌日、ファーム本隊とともに記者も空路高知入り。第3クールの12、13日を除く全日程を取材する幸運に恵まれた。普段はじっくり話を聞くことが少ない若虎と連日接することができ、まさに「実りの秋(=安芸)」となった。

 特に、育成選手の存在感が目立った2週間と言えた。平田勝男2軍監督が「練習量はチームでトップ。トップクラスじゃないよ、トップ!」と評する育成2年目・福島圭音外野手、藤川球児監督が来春の沖縄・宜野座キャンプ抜てきを決断した同1年目・嶋村麟士朗捕手ら、26年の支配下登録を目指す面々は、“グラウンド外”でもナイスガイだった。

 福島とのやりとりで印象的なシーンがある。育成であるがゆえ練習量も多く、球場を後にするのは最終タクシーが発車する午後6時頃になる。すっかり日も暮れ、辺りは真っ暗だから「同乗の選手を待たせてはいけない」と、報道陣の問いかけに二言、三言しか返せないことがあった。応じてくれるだけでもありがたいのに、翌朝、「時間がなくて、昨日はあまり話せずにすみませんでした」と気遣ってくれた。自分のことで精一杯のはずなのに――。周りに気配りができる太い芯が通った魅力的な人間性。2桁背番号を目指す上で、大きな武器になると感じた瞬間だった。

 嶋村も、どんなときでも真摯に受け答えしてくれた。囲み取材時、藤川監督が褒めていたよ、と切り出すと「本当ですか!」と目を丸くしながら、喜びもそこそこに、課題や反省点をよどみなく話す。口調に熱がこもっているから、一つ一つの言葉にうそ偽りがないと確信できる。プロ初の秋季キャンプの舞台は、地元・高知。猛練習による蓄積疲労に加えて、周囲の喧噪による気疲れもあるはずなのに、常に柔和な表情を絶やずに走りきった。

 弱肉強食のプロの世界。ましてや育成選手は、支配下選手と比較しても一層の結果が求められる。だが、パーソナリティーも“下克上”への大切な要素と言っていい。球春到来まで2カ月半。鍛錬の冬を越え、一回りも二回りも大きくなった「育成の星」たちの姿を楽しみに待ちたい。(記者コラム・八木 勇磨)

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