【スポニチ調査ファイル(2)】神戸弘陵・村上泰斗 「く」の字センスと探究心 160キロ&1位指名狙う

[ 2024年4月9日 07:00 ]

神戸弘陵・村上泰斗

 アマチュア野球の有力選手をリサーチする企画「スポニチ調査ファイル」第2回は、神戸弘陵(兵庫)の最速152キロ右腕・村上泰斗投手(3年)に迫る。その持ち味は天性のセンスと探究心。元阪神・藤川球児の「火の玉ストレート」を理想に掲げる右腕は、生まれ持った理にかなった投球フォームと飽くなき向上心を武器に160キロ到達、そして1位指名でのプロ入りを目指す。

 村上は左足を「く」の字に曲げて体重移動しながら、リリースへ向かう。自らの体重をフルに乗せ、最大限の出力で発したボールは抜群の球威をまとう。楽天・田中将大や大リーグのタイガース・前田健太らと共通した特長を持つフォームだが、「無意識」と言う。天性のセンスに恵まれた本格派右腕だ。

 理にかなったフォームが生み出す直球は、最速152キロ。抜群の身体能力も、その原動力だ。1メートル80、76キロと均整の取れた肉体は、除脂肪体重66キロ前後。遠投110メートル、背筋力207キロ、スクワット200キロと、速球を生み出す条件がそろう。開脚が「170度くらい」と、柔軟性も兼備する。高校でウエートトレーニングに励んだ結果、入学時の最速130キロ台中盤から飛躍的に球速を上げた。そして、「最終的な目標は160キロです」と力強い。

 中学時代は主に捕手で、高校入学から本格的に投手を始めた。経験の浅さは探究心でカバー。精力的に取り組むのが「暇な時は見ています」という動画視聴による研究だ。縦スライダーはオリックス・山岡泰輔を参考に磨きを掛け、メッツ・千賀滉大と同じ握りのフォークは最速138キロで「球速は誰にも負けません」と胸を張る。

 加えて知識も豊富。たとえば先輩に当たるオリックス・東晃平について問うと「データで見た時に、真っすぐの平均球速が球界トップクラスの150キロくらい出ています。自分も平均球速を気にしているので」と応じ、阪神・村上頌樹については「真っすぐの空振り率が高いので、分かっていても打てないストレートを持っておられると思います」とあらゆるデータに精通。また、自分自身についてもしっかり把握している。特にカットボールは「ジャイロ気質なんです。回転効率が低くて、回転がジャイロ回転。トレーナーの方からはジャイロボールと言われています」と言う。もはや「投手マニア」と言っても過言ではない。

 変化球6種類を操るが、最大の武器と自認するのは直球。「理想は(元阪神)藤川球児選手の火の玉ストレート。回転軸は気にしていて(心がけているのは)0度です」。投球回転数はプロの平均を上回る約2500回転で、「回転軸を気にしていたら上がってきました」とうなずく。現在の課題は平均球速の向上で、「平均球速148キロくらいはほしいですね」と前を向く。

 岡本博公監督は、同校OBで教え子のオリックス・東を引き合いに「村上は東とはタイプが違って瞬発系の投手と思います。身体能力は東に負けません。馬力もあります」と評す。卒業後の希望進路を「プロ一本」と言い切る村上は「競合ドラフト1位で行けるような選手になりたい」と続ける。勝負の1年で、さらなる飛躍を期す。(惟任 貴信)

 ◇村上 泰斗(むらかみ・たいと)2007年(平19)2月20日生まれ、兵庫県出身の17歳。白金小1年から白金メッツで野球を始め、猪名川中では箕面ボーイズで捕手兼外野手。神戸弘陵では2年春から背番号11でベンチ入りし同秋からエース。球種はカーブ、カットボール、スライダー、フォーク、チェンジアップ、ツーシーム。50メートル走6秒3、遠投110メートル。1メートル80、76キロ。右投げ右打ち。

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