健大高崎の箱山に隠れた「誰も知らない逸材」 元NPB審判員記者仰天の「フレーミング」技術
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11年から16年までNPB審判員を務めた記者は、昨年1月にブルペンで投手をジャッジする企画「突撃!スポニチアンパイア」を始め、選抜大会直前には高崎健康福祉大高崎(群馬)の「スーパー2年生コンビ」の佐藤龍月と石垣元気をジャッジした。佐藤を「大会No.1左腕になれる」、当時最速148キロだった石垣は「球速は150キロ出る。大ブレークすると思う」と絶賛した。
文句なしの逸材だった2人だが、一番のサプライズは背番号12の控え捕手だった。記者は企画当日、シート打撃の球審を務めた。低めに伸びる石垣の直球、コーナーに決まる佐藤のスライダーに、気持ちよく「ストライク!」を連呼。登板後の佐藤は「広くストライクを取ってもらった」と謙そんしたが、企画のための「忖度(そんたく)ジャッジ」などではない。捕手を務めた金井俐樹(3年)のフレーミングが「ストライク」を引き出していた。「こんなに上手く捕れる高校生がいるのか…しかも控え!?」と驚いた。
近い将来、球審の投球判定は機械が担う仕事になるだろう。それでも現在はまだまだ人の仕事。人がやる以上、投球が「どこを通過したか」の判断はもちろん、捕手が「どう捕球したか」も重要になる、とNPB審判員時代に実感した。
例えば縦に大きく落ちるカーブに対し、地面に着きそうになるくらいミットを落として捕球した場合、投球は低めのストライクゾーンを通過したかもしれないが「ストライク!」と判定すれば、攻撃チームはベンチから「いや、ミット落ちてるやん!」と大ブーイングを浴びせてくる。NPBの選手たちも「どこを通過したか」と同じくらい「どう捕球したかが大事」と認識していた。杓子定規ではいかない現実が現場にはある。
際どい投球を「ストライク」と球審にコールさせるための技術をフレーミングという。低めをストライクに見せるためにはミットを「下から上」へ動かす必要がある。逆の動きをするとミットが捕球した地点よりも下がるため、球審からはボールに見えがちだ。だが「下から上」の動きはあくまで捕球する前の話。捕球から一タイミング置いた後にミットを動かすと、球審は「ボールゾーンからミットをストライクゾーン動かした」と判断し逆効果になる。記者の審判員時代にも球審を務めた際、「逆効果」を続ける捕手には「その捕り方は逆にボールに見えるからやめてほしい」とお互いのためにお願いしたこともある。審判員と選手は一蓮托生、たとえ呉越同舟でも一緒にゲームをつくっていかなければならない。
金井はこの捕球加減が絶妙で低めを見事に拾うことができ、気持ちよく球審に「ストライク」をコールさせることができる。小学時代から「ボールを下から見ることを意識してきた」と努力を続け、高校ではドジャースのオースティン・バーンズ捕手のキャッチングを手本に技術を磨き抜いていた。球審目線から金井は、セガサミー・須田凌平、パナソニック・宮崎恭輔、青学大・渡部海らと並んでアマチュア球界で5指に入る捕球技術の持ち主だと感じた。
光り輝くその技術はまだ知られていない。優勝した選抜大会では出番のなかった金井。チームではプロ注目で侍ジャパンU18代表候補の箱山遥人が不動の正捕手に君臨。金井は選抜で三塁ベースコーチとして腕を回し、声を枯らし、得点時には誰よりもド派手なガッツポーズで喜びを表現した。箱山にも負けない技術を全国舞台で披露する機会には恵まれなかったが「本当に夢のような場所。校歌も5回を歌えましたし、自分にとっても成長の機会になったのでよかった」と悔いはない。決勝までの5試合でチームの本塁打はゼロ。攻撃の司令塔ともいえる三塁ベースコーチの大役を果たし「外野手のデータに基づいて判断していたのでミスにならなかった。攻めの判断ができてよかった」と誇った。
このまま「誰も知らない逸材」で終わる気はさらさらない。「やっぱり箱山は箱山でプロっていう目標があると思う。自分は“ここで終わりじゃない”と思っている。しっかり箱山の良いところを吸収しながら大学に向けてやっていきたい。“将来やってやろう”じゃなくて、今の自分の課題をしっかり潰していきたいと思う」と見据えた。
「スーパー2年生コンビ」の佐藤と石垣がお互いの存在を成長の糧としてように、箱山の影に金井あり、だ。(記者コラム 元NPB審判員、アマチュア野球担当キャップ・柳内 遼平)
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