【2009年センバツ 雄星世代】日米15球団スカウト集結“菊池春祭り” 今村、堂林、今宮…才能も集結

[ 2024年3月17日 07:20 ]

決勝で対戦し、記念写真で笑顔の花巻東先発菊池雄星(前列中央)と清峰・今村猛(後列左から2人目)
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 第96回選抜高等学校野球大会(センバツ)は3月18日に開幕する。今大会は一般選考29校、21世紀枠2校、神宮大会枠1校の計32校が選考され、13日間の熱闘を繰り広げる。早春のセンバツは世代を代表するスター選手たちが最上級生で迎える大舞台でもある。「〇〇世代」として春の甲子園を沸かせた選手たちの特集。第11回は2006年の「雄星世代」。(構成 浅古正則)※敬称略

 ■菊池雄星(花巻東=岩手)

 大会屈指の左腕と称された菊池のセンバツデビューは衝撃的だった。1回戦鵡川(北海道)戦。2007年夏、1年生で登板して以来の聖地のマウンド。1本の安打も許さずに迎えた9回1死。101球目の直球が左前に運ばれた瞬間、新装された銀傘に落胆と歓喜がこだました。04年のダルビッシュ有(東北)以来13人目となるノーヒットノーランにあと2人までこぎつけながら偉業を逃したが、怪物左腕はサバサバしていた。「できるような投手じゃないので別に気にしてませんでした。チームが勝てるピッチングができたので100点をあげていいと思います」5回2死から阿部康に投じた外角高めの直球は電光掲示板で150キロ、阪神スカウトのスピードガンでは152キロを計測し、センバツ左腕史上初の150キロ超えを果たした。「ベンチに戻ったら150キロ出てたと言われたんですけど、ボールだったのでうれしくない」。12奪三振完封勝利。ネット裏に国内12球団、メジャー3球団のスカウト陣が集結。“菊池春祭り”の幕開けだった。

 2回戦は明豊(大分)。3番・三塁には今宮健太がいた。初回その今宮に右前打を許したが後続を打ち取り無失点。終わってみれば初戦と同じ12奪三振完封。1984年の大船渡以来岩手県勢25年ぶりの8強入りを果たした。準々決勝の南陽工(山口)戦は1―3と2点ビハインドの6回から登板。三振を取るたび派手なガッツポーズでチームを鼓舞した。7回の攻撃、同点としてなお2死一塁。自らのバットで左越えの勝ち越し二塁打。4強をつかみ取った。準決勝は同じ東北勢、21世紀枠の利府(宮城)が相手。3回1死二塁で痛恨の2ランを浴び大会初失点を許したが、取られた点は自分で取り返した。1点を追う6回2死満塁で中前へ逆転の2点適時打。東北悲願の大旗に王手をかけた。

 決勝はNO・1右腕といわれた清峰(長崎)の今村猛との真っ向対決。予想された通りの投手戦となった。6回まで互いに無失点。7回2死から四球。続く9番打者に144キロ直球を中越え二塁打され失点。1点が重かった。9回2死、自らの中前打で出塁。一、二塁とチャンスは広がったが、代打・佐々木大は左飛。本塁手前で菊池の春は終わった。「最後、本塁を踏ませてもらえなかったのは野球の神様が“まだ早い、日本一の投手になって戻ってこい”といってるのだと思います」。夏も聖地に立った菊池だが準決勝で優勝した中京大中京に敗退した。09年西武1位。

 ■今村猛(清峰)

 前年秋の九州大会を制した清峰の大黒柱・今村。1回戦日本文理(新潟)戦の2回、甲子園初打席でバックスクリーン右へ先制ソロを叩き込むとマウンドでも全開。12奪三振の完封勝利を飾った。2回戦は福知山成美(京都)から11奪三振。2試合連続の完封で8強入り。準々決勝の相手は古豪・箕島(和歌山)。9回、2年生の中野にマウンドを譲ったが8回まで10三振。無失点記録を26回に伸ばした。準決勝は強打・報徳学園(兵庫)に1失点完投勝利。横浜に0―17で敗退した06年以来の決勝に駒を進めた。菊池との投げ合いを制して長崎に初の大旗をもたらした今村は「やっと終わった。きつかった。菊池君は凄くいいピッチャーだった」菊池には「また夏に試合をしよう」と声をかけた。夏は長崎大会準々決勝で敗退。2人の再戦は実現しなかった。09年広島1位。

 ■堂林翔太(中京大中京=愛知)

 エース&4番、伝統校の主役・堂林は1回戦の神村学園戦(鹿児島)で好投。5安打完投勝利で初戦を突破した。2回戦は倉敷工(岡山)に5点を失ったが、5打数4安打2打点、バットでチームをけん引した。準々決勝は報徳学園に1点リードの9回2死満塁から痛恨の2点適時打を浴び逆転負け。堂林が3安打。2年生捕手の磯村嘉孝(10年広島5位)も3安打と気を吐いたが敗れ去った。夏は全国制覇。09年広島2位。

 ■今宮健太(明豊)

 小柄ながら身体能力は超高校級。1回戦の下妻二(茨城)戦から今宮のバットがうなった。初回右前打を放つと3回には二塁内野安打、8回の第4打席では右中間二塁打を放ち3安打1打点。9回には救援登板。1四球も3つの三振で締めくくった。2回戦花巻東戦でも2番手として登板したが2失点。甲子園の怖さを知った。夏も出場。準々決勝で花巻東と再戦するも延長10回敗退した。09年ソフトバンク1位。

 ■秋山拓巳(西条=愛媛)

 大会屈指の右腕と注目された秋山。PL学園(大阪)打線を1点に抑えながら援護なく1回戦で姿を消した。序盤から変化球の制球が定まらず、直球を狙い打たれた。吉川大幾(10年中日2位)勧野甲輝(10年楽天5位)を擁するPL打線に粘ったが及ばなかった。「序盤の投球が情けなさすぎました」夏は1回戦突破も2回戦で明豊に敗退した。09年阪神4位。

 【2009年センバツに届かなかった“雄星世代”主な選手(秋季大会成績)】筒香嘉智(横浜=神奈川県大会3回戦敗退)、梅野隆太郎(福岡工大城東=福岡南部大会4回戦敗退)、岩貞祐太(必由館=熊本大会準々決勝敗退)、原口文仁(帝京=東京都大会準決勝敗退)、大瀬良大地(長崎日大=長崎大会2回戦敗退)、九里亜蓮(岡山理大付=岡山県大会1回戦敗退)、杉本裕太郎(徳島商=四国大会1回戦敗退)、岡大海(倉敷商=岡山県大会1回戦敗退)、石川柊太(都総合工科=東京都大会ブロック予選決勝敗退)、山川穂高(中部商=沖縄県大会3回戦敗退) 

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