ドジャース・山本由伸“くまモンと米始動” ハンドボールで壁当て、オリ時代から続ける練習

[ 2024年2月8日 02:30 ]

キャンプ地で調整するドジャース・山本
Photo By 共同

 ドジャース・山本由伸投手(25)が6日(日本時間7日)、キャンプ地のアリゾナ州グレンデールの球団施設で初めて練習を行った。壁当てで手にしたのは、熊本県のご当地ゆるキャラ「くまモン」がプリントされたハンドボール。色によって重さの異なるプライオボールや、ジャベリックスロー用の投てき具など、独自の理論のトレーニングを支える愛用品を持ち込み、米国でも“由伸流”を貫く構えだ。

 メジャーリーガーとしての一歩目は、くまモンと踏み出した。初めてキャンプ施設を訪れた山本は、ドジャーブルーで統一した姿でグラウンドへ。ウオーミングアップの壁当てで手にしたハンドボールには、ゆるキャラグランプリ11年王者がプリントされていた。

 岡山出身だが、熊本県の隣県の都城(宮崎)で高校3年間を過ごした。軽く助走をつけながら体を漢字の「大」の字のように両手両脚を伸ばして「割れ」を意識し、丁寧に投げ込んだ。その後はジャベリックスローのトレーニングも重ねた。

 新天地でも、ぶれることはない。ハンドボールを使った練習は、オリックス時代から重ねてきた。手にしたくまモンボールは、19年に女子ハンドボール世界選手権熊本大会を記念した限定モデル。小学校低学年向けの最も小さいサイズだ。それでも直径約14センチ、重さ約180グラムは、野球の硬式球の直径約7・4センチ、重さ約145グラムと比べれば明らかに大きい。肩、肘は使わず、胸郭や下半身を連動させて投げる必要があり、正しいフォームや故障防止につながる。

 代名詞のジャベリックスローも似た狙いで取り入れ、ロッテ・佐々木や巨人・戸郷、中日・高橋宏ら球界に一気に広がった。プロ1年目のオフ、右肘痛が生じるフォームに限界を感じ、独自の理論を基に投球フォームを大幅に変えた。支えるトレーニングも独自色が強い。大リーグでもその理論やメニューが新たなムーブメントとなってもおかしくない。

 投手史上最高額となる12年総額3億2500万ドル(約481億円)で入団。昨年末の会見では「全てが変わる。食生活や中4日の登板間隔に対応するトレーニングと、いろいろ試行錯誤してきた」と話した。挑戦であり、その先に進化を求めるが、培ってきた“由伸流”はそのまま。開幕投手の大役を務める可能性もある3月20日、韓国ソウルでの開幕・パドレス戦へ向け、全30球団の先陣を切るキャンプは9日(日本時間10日)に始まる。

 ≪「縦振り」で肩&肘壊す人少ない≫元ソフトバンクで日本ハンドボールリーグの理事も務める松中信彦氏(50)は、山本が取り組んだハンドボールを使った練習について私見を述べた。「野球選手が練習にハンドボールを取り入れた話は聞いたことがない」とした上で、「(ハンドボールは)腕が横振りになるとボールが抜けてしまう。基本は縦振り。千賀選手(メッツ)が、腕が横振りになるとフォークが落ちなかった。野球選手も縦振りの練習をしますよね」と共通点を指摘した。

 真上から振り下ろすのが基本であるハンドボール選手は「肩、肘を壊す人は少ない。膝を悪くする人は多いですけど」と松中氏。現在は日本や欧州でも肘を使う投げ方が主流になりつつあるが、数年前までは肘を使わない「アーム式の投げ方が多かった」という。

 ただ、松中氏が説明したのは大人用の3号球を使う場合。山本が使った小学生用のボールについては「どういう考えで使ったのかは分かりません」とした。

 ≪かなりレア≫くまモンボールの販売元のモルテン社は、激レアアイテムの使用に驚きを隠さなかった。実数は把握していないというが、18年11月から期間限定で販売され、同社広報室の滝沢舞実さんは「よくお持ちでしたね。もう流通していないモデルで、かなりレアだと思います」と明かした。同社のハンドボール用品の野球選手への提供は過去にはないという。小学校低学年向けの00号球で、中に綿が入ってつかみやすく、当たっても痛みを感じにくい作り。「ハンドボールを普及させたくて作られたコラボ商品でした」と説明した。

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