イチロー氏 フリー打撃で校舎窓ガラス破壊!50歳驚異の130m弾 指導の高校生「うわー」「えぐい」

[ 2023年11月6日 16:57 ]

野球部員と課したノルマ(校舎の屋根越え5本)を達成し喜ぶイチローさん=2023年11月5日、北海道旭川市の旭川東高校(代表撮影)
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 マリナーズで会長付特別補佐兼インストラクターを務めるイチロー氏(50)が4、5日の2日間にわたり、旭川東(北海道)で選手指導を行った。

 イチロー氏が高校生を指導するのは、20年の智弁和歌山、21年の国学院久我山、千葉明徳、高松商、22年の都新宿、富士高に続き7校目。

 古巣・オリックスと阪神が対戦した日本シリーズに配慮したいという意向により、6日に指導したことが公表された。

 同校は、過去10度も北北海道大会の決勝に進みながら甲子園には届かず、昨夏53年ぶり11度目の決勝進出を果たすも再び敗退。2021年の大みそかに旭川東高の関係者から「悲願を叶えたい」との指導を依頼を受けたといい、「悲願を叶え未来の礎となるきっかけを残せたら」と訪問を決めたという。

 初日から選手に交じってプレーしながら、アドバイス。打撃練習では選手がケージを取り囲む中でフリー打撃も披露した。

 グラウンドは右翼95mで、高さ約8メートルの防球ネットが設置されており、すぐ奥に4階建ての校舎が建つ。

 まず、27球中23スイングし、うち2球がネットを超えて校舎へ飛んだ。1球は窓を直撃、もう1球は窓の間の壁に当たり「大丈夫?もし割っても。割ったら終わるわ笑。目的変わってきた」と苦笑。「引っ張るのって難しい。正しく引っ張るのは。最終的に(右翼)ポール際が切れない打球、その形が僕の中でいい形。そこを目指している。(左脇を)締めて引っ張る。ヘッドが走るために(開くのを)我慢して走らせる」と打撃での心得を口にした。

 さらに30球中27スイング。7球目で校舎を超え、大歓声が挙がった。「もうちょっと見たい?なかなか超えない?(絶対超えないです)もうちょい見たい?おじさん疲れるからさ笑」。15球目にも校舎超えし、選手からは「えぐい」の声が挙がった。

 高い飛球も多く「高く上がるのは大事。ポイントで打つと角度がつく。ライナーばっかりだと試合では差し込まれる。高いフライは紙一重。自分の判断基準を持つことが大事」「そんなに力入れているように見えないでしょ。ばててきたときにどういう形を保てるかが大事。(疲れてきたら)チャンスと思って。楽して打つとその形が身につく。しんどくても形を保って。うまくなるチャンスだから」「僕の特徴は股関節。みんな大体(スイングで)ターンするときに、そのままぺたんとなっちゃう。一度股関節が入ってから回る。この動きがあって力が伝わる。難しいけど」と解説。

 最後に16球中13スイング。13球目が校舎3階の窓を割り、再び大歓声が挙がった。バットを交換して、16球目に再び校舎を超えてバンザイして終了。選手は「うわー」「えぐい」と大興奮だった。窓が割れたのは数学教室と聞いたイチロー氏は「数学の成績だけがーんと下がったらどうしよう」と笑わせた。

 結局フリー打撃では計73球中63スイング。校舎の屋上着弾が3本、校舎を超えて中庭までが1本。校舎直撃は5本で、そのうち窓破壊が1本。ティー打撃と合わせて約35分間、50歳とは思えぬ強烈な打球を披露した「イチローショー」となった。

 内角球への対処を質問され、「訓練だね。僕は内角大好き。難しいとも思う。距離がないから。バロメーターにもしやすい。外はごまかせちゃうから。内角に厳しい球が来ると難しい。でも近いところをしっかり振れる確認をするためには大事になる」とも助言した。

 2日目にもフリー打撃に臨み、計97球で91スイング。校舎の屋上へに5本放り込み、14本は校舎や窓に直撃。右翼ファウルゾーンのマネジャー室の窓を破壊する1本も飛び出し、ティー打撃と合わせて40分ほど打ち込んだ。「一人でこれだけ連続で打つ練習をするとどこで自分がばてるか分かる。どれだけ力を使っているかよく分かる。高校の部活動だとできないかもしれないけど、1日3、4人とかでならいけるかな。自分の動きを理解するにはいい」と述べ、「いまだに50歳でもやりつづけていると、去年より飛距離も伸びている。面白くない?すごい面白い。みんなは吸収力が半端ないから、冬の間でめちゃくちゃ変わるよ」と語りかけた。

 旭川東は北海道旭川市にある公立(道立)の高校。1903年開校の北海道庁立上川中学校を起源とする伝統校で、通称は「旭東」「東高」。旧制旭川中学校時代はビクトル・スタルヒン氏の母校として知られる。スタルヒン氏はエースとして北海道大会で33、34年と準優勝して3年で中退。巨人の前身・大日本東京野球倶楽部に入団、初の300勝投手となった。

 学生野球の指導には、原則としてプロ球団を退団する必要がある。だが、イチロー氏の野球界への功績の大きさや、アマ選手の獲得に携わる立場でないことを踏まえ、日本学生野球協会が特例を容認。イチロー氏は2019年12月に学生野球資格回復制度の研修会を受講し、20年2月に資格を回復。マリナーズでの活動がないオフシーズンに限り、高校生や大学生への指導が可能となり、以来各地の高校で指導している。

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