阪神、38年ぶりの日本一!“関西対決”オリックスを破る 岡田監督は球団初「選手と監督の両方で制覇」

[ 2023年11月6日 05:15 ]

SMBC日本シリーズ2023第7戦   阪神7ー1オリックス ( 2023年11月5日    京セラD )

<オ・神>胴上げされる岡田監督(撮影・島崎忠彦)
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 「SMBC日本シリーズ2023」は5日の第7戦で阪神がオリックスを破り、1985年以来、38年ぶり2度目の日本一に輝いた。3勝3敗で迎えた大一番で投打がかみあって大勝。岡田彰布監督(65)は球団では初めて選手と監督の両方で日本シリーズを制覇し、胴上げで5度宙に舞った。最高殊勲選手賞(MVP)には53年川上哲治(巨人)らを超える歴代単独3位の14安打で貢献した近本光司外野手(28)が選ばれた。

 歴史を動かしたのは幼少期から阪神を愛し、タテジマに人生をささげてきた岡田監督だ。復帰1年目で38年ぶり2度目の日本一。5度、宙に舞った。

 「前回の日本シリーズは27歳だったんですけどね。長かったですね。選手で日本一、監督で日本一を達成できて幸せです」

 3勝3敗、合計スコア「23―23」のがっぷり四つで、59年ぶり「関西シリーズ」の第7戦を迎えた。「集大成」の一戦は、ほぼ固定してきた選手が第2戦で抑えられた宮城に襲いかかった。4回にノイジーの3ランで先手を取り、5回は3連続適時打で突き放した。青柳を5回2死で代え、伊藤将を3イニング挟み、最後は岩崎で締めた。現役最後に在籍し、指導者としての第一歩を記し、12年途中で監督を解任された浅からぬ縁があるオリックスとの激戦を制した。

 「オリックスは強かった。本当に」

 シリーズ前に「普通になんかやる必要ない」と号令をかけた。05年はロッテに4連敗。計り知れない重圧が押し寄せることを熟知していた。実際、他でもない自身が普通でなかった。第1戦の初回1死一塁で森下の見逃し三振と中野の二盗失敗が重なって併殺。ベンチで「ツーアウトやろ」と数度、怒鳴った。状況を把握できていなかった。珍しい勘違いにベンチ内に驚きと緊張感が走った。選手やコーチは「日本シリーズはそれほどたかぶる舞台。逆に引き締まった」と口をそろえた。

 第4戦は普通ではない采配も繰り出した。同点の8回の窮地で湯浅を4カ月ぶりに起用して流れを変えた。サヨナラ勝ち後、こんな勝負哲学を残した。

 「外れた時の大きさを考えたら、三塁やからスクイズって簡単に出されへんて。短期決戦は余計に。それで一気に流れもいってしまうわけやから。それほど、サインの一つは怖いことやから」

 湯浅投入の直前、1死二、三塁で代打の代打・安達を巡る敵将との駆け引きを振り返ったものだ。長年の経験からスクイズはないと読み切った。冷静な観察眼とギャンブル起用という対極の要素で思考。クラブハウスの監督室のイスから動けず、関係者に「(自宅でなく)ホテルに泊まろうか」と漏らしたほど疲弊した。

) 常に勝利を追求する厳格さを示し、選手からは近寄りがたい存在だった。活躍した選手を監督室でねぎらう過去にない姿を見せた一方、昔も今も基本的に個々に直接、考えを伝えることはない。代わりにメディアを使った。毎日配信される「岡田語録」で核心を突き、「チームがやるべきこと」を詰め込んだ。時に容赦ない言葉も並ぶ「新聞辞令」が令和の時代に通じるだろうか…という球団内の不安を豊富な野球知識とカリスマ性で打ち消した。ほぼ全選手が「岡田語録」を熟読。夏場に強制的に早出特打を課せられた佐藤輝は今では自主的に取り組むようになった。

 求めたのはプロフェッショナルな振る舞い。ファンを楽しませるためにも夏場は控える球団が多い試合前のシートノックを1年間続けた。お立ち台での「最高です」を禁じ、自分の言葉で思いを届けるようにさせた。リーグ優勝でも日本一でも胴上げでバックスクリーン方向に「カメラ目線」をする人間はいなかった。文字通り全員に同じ方向を向かせ、「アレのアレ」へと導いた。(倉世古 洋平)

 《陽子夫人祝福》 ○…岡田監督の妻・陽子さん(64)が球場で日本一の胴上げを見届けた。85年は長男・陽集さんを出産したばかりで、西武球場に駆けつけられなかっただけに「38年前は生で見られなかったので良かった」とかみしめた。今回の日本シリーズ中は勝利を願い、「験担ぎになることを探したり。部屋をきれいにしたら勝てるのかな」と落ち着かなった。第6戦は英国のロックバンド「クイーン」の名曲「We Are The Champions」を「一日中聞いていた」というものの敗戦。「なので、今日は何もせず、悔いのない試合を願いました」と喜んだ。

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