広島・新井監督“神采配”でCS先勝！三盗→スクイズで同点、九里を救援投入「選手の成長を感じたゲーム」

セ・リーグ　クライマックスシリーズ　ファーストS第1戦   広島3－2DeNA （ 2023年10月14日    マツダ ）

＜広・De＞サヨナラ打を放った秋山（左）を抱きしめる新井監督（撮影・島崎忠彦）
Photo By スポニチ

　「2023　JERA　クライマックスシリーズ（CS）セ」が14日に開幕し、3試合制のファーストステージ（S）は2位の広島が3位のDeNAにポストシーズンでは球団初のサヨナラ勝利で先勝し、ファイナルS進出に王手をかけた。8回に三盗とスクイズで同点に追いつくなど新井貴浩監督（46）が攻守で好采配を連発し、延長11回の秋山翔吾外野手（35）の殊勲打を呼んだ。

　延長突入後の好機で本拠地に鳴り響いたのは新井監督の現役時代の応援歌だった。11回の劇的な決着。日本シリーズを含めてポストシーズン球団初のサヨナラ勝利が決まった瞬間、ベンチを出てグラウンドを飛び跳ね、殊勲の秋山と抱き合った。

　「CSが初めての選手も多いので、投手も野手も緊張していたと思うけど、みんな思い切ってやってくれた。だから、サヨナラゲームになったと思う」

　1点を追う8回の攻撃がキラリと光る。先頭で四球を選んだデビッドソンに代走・羽月を起用。代打・矢野の初球犠打で二進し、続く菊池の初球に鮮やかな三盗を決めた。ボール1球を挟み、今度はスクイズだ。菊池が投前へ転がし、羽月が本塁へ滑り込んだ。

　「勇気がいると思うけど、羽月が一発目からよくスタートを切ってくれた。キクも高めのボール球をよく決めてくれたし、本当にいい攻撃だったと思う」

　敵を欺く大胆不敵な三盗から、レギュラーシーズンで成功2度のスクイズを、ここ一番で仕掛ける胆力。レギュラーシーズンで6戦4勝を許した難敵の東に対し、機動力と小技を絡めて無安打で同点に追いついた時点で、勝利への道は大きく開けた。

　継投でも攻めた。2点劣勢の6回1死一塁で床田から大道にスイッチ。7回からは勝ちパターンの矢崎―島内―栗林でつないだ。ブルペン待機させた九里を延長10回に迷わず投入し、2イニング目の11回に2死三塁を招くと、ターリーを指名してピンチを脱した。

　「（采配で）こうしておけば…というのはなかった。それは各自が役割を分かった上で、意図したことをやってくれたから。凄く成長を感じたゲーム。自分たちは戦いながら強くなっていくんだ…と常に言っているけど、いい経験になっていると本当に思う」

　悔いを残さないように…と自らに誓い、思い通りにやり切ったCS初采配。攻守にさえわたり、ロースコアの接戦を制した。引き分け以上でファーストS突破が決まる第2戦。15日も絶妙なタクトで歓喜を呼ぶ。（江尾　卓也）

　《先勝で突破率87％》レギュラーシーズン2位の広島が先勝。セCSファーストSで初戦に勝ったチームは過去15度のうち13度ファイナルSに進出し、突破率87％。広島の先勝は13年以来10年ぶり2度目で、前回は2連勝で勝ち抜けた。きょう15日は引き分けでも突破。一方でセの2位チームは16年巨人から昨年まで6度連続でファーストS敗退中（20年は開催中止）。

　《PS球団初のサヨナラ勝ち》プレーオフ、CSでのサヨナラ勝ちは昨年ファイナルS第4戦のオリックス以来14チーム目。広島は日本シリーズを含めてポストシーズン通算74試合目（CS20試合、日本S54試合）で初のサヨナラ勝ち。

　《羽月“プロ初三盗”》CS初出場の羽月（広）が8回に三盗成功。レギュラーシーズンで今季14度、通算22度の盗塁はすべて二盗。三盗は失敗を含め、今回初の企図で成功。なおチームの今季78盗塁のうち三盗は7度（二盗70、本盗1）。上本が4度、矢野が2度、田中が1度成功している。