【菊地選手の「隠し玉」発掘】四国IL徳島・椎葉 159キロ!!球児ばり“火の玉”直球で空振り量産

[ 2023年10月13日 05:30 ]

四国IL徳島の椎葉剛
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 独立リーグの試合を見ていると、「こんな選手がどこに眠っていたのか?」と思わされる原石と遭遇する。今年の筆頭株が椎葉剛だ。

 最大の長所はストレート。高めに向かって伸びていく軌道で、空振りを量産できる球質だ。9月29日の独立リーググランドチャンピオンシップでは、松山・坊っちゃんスタジアムのビジョンに「159キロ」の球速が表示された。ロッテの榎康弘スカウト部長は「力感ないフォームからピュッと強いボールが来るのが魅力。あとは変化球の決め球がつくれれば面白い」と椎葉を評価する。

 昨年まで3年間プレーした社会人・ミキハウスでの実績は皆無と言っていい。本人は「公式戦登板は1試合だけで、その時も1イニングも持たずに降板しました」と振り返る。高校まで捕手メインでプレーしており、強肩を生かすため社会人から投手に転向。だが投手経験が浅く、肉体的にも成熟途上だった椎葉が活躍できるほど、社会人は甘い世界ではなかった。椎葉は「ミキハウスの先輩が活躍していたので」と、四国アイランドリーグplusの徳島インディゴソックスに活路を求めた。

 徳島では肉体改造に取り組み、瞬発力を高めた上で体重が6キロ増量。さらに実戦経験を積む中で、投球技術も洗練されていった。今季は22試合に登板し、39回を投げて51奪三振をマーク。奪三振率は11・77と高水準だった。「藤川球児さん(元阪神ほか)みたいに、分かっていても打たれないストレートを投げたい」と豪語する21歳。年齢的には常広羽也斗(青学大)ら有望選手がひしめく大学4年生と同じ。椎葉は「同世代でもストレートの質では負けたくない」と強気に語る。課題の精度を高め、いつかは世代No・1に。椎葉剛の「下剋上」が始まっている。

 ◇椎葉 剛(しいば・つよし)2002年(平14)3月18日生まれ、大阪府出身の21歳。島原中央では捕手、ミキハウスでは投手に転向したものの大きな実績は上げられず。今春から四国アイランドリーグplus・徳島に入団。160キロ近い快速球でドラフト候補に浮上している。1メートル82、92キロ。右投げ右打ち。

 ◇菊地選手(きくちせんしゅ)1982年(昭57)生まれ。本名・菊地高弘。雑誌「野球小僧」「野球太郎」の編集部員を経て、15年4月からフリーライターに。ドラフト候補の取材をメインに活動し、ツイッター(現X)上で「大谷翔平」とツイートした最初の人物(10年10月8日)。19年3月出版の著書「下剋上球児 三重県立白山高校、甲子園までのミラクル」は、15日から始まるTBS系の日曜劇場のドラマ「下剋上球児」の原案に。Xアカウント:@kikuchiplayer

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